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北朝鮮、核・ミサイル開発を継続 国連が中間報告書

(更新)

【ニューヨーク=吉田圭織】国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは4日、対北朝鮮制裁の履行状況に関する中間報告書を正式に発表した。パネルは「経済的苦境のなかでも北朝鮮は核・弾道ミサイル計画を維持し、開発を継続している」と報告した。制裁をかいくぐり、安保理の制裁決議が禁じる石炭の輸出を続けている現状も明らかにした。

報告書の公表を受けて、米国連代表部の報道官は日本経済新聞に対し「北朝鮮の行為は朝鮮半島と周辺地域の平和や安定、安全保障を脅かすものだ」と批判した。報告書では「北朝鮮による制裁回避を容認し続ける国として中国とロシアが大々的に取り上げられている」と指摘し、両国が真剣に制裁違反に対処する必要があると強調した。

報告書は2月から8月初旬の制裁の履行状況をまとめた。パネルは2020年12月~21年2月に撮影された赤外線画像などから、北朝鮮が寧辺(ニョンビョン)の核施設の実験用軽水炉で複数回の試験を実施したと分析している。報告書は「軽水炉の外部の工事が完成し現在は機材の設置途中だとみられる」とも指摘した。一方、5メガワットの原子炉は18年以降稼働していないという。

石炭や石油などの積み荷を洋上で船から別の船に移す「瀬取り」が昨年に続き横行していることも明らかにした。報告書によると、21年2~5月の間に少なくとも41回に分け、北朝鮮産の石炭36万4000トンが中国の寧波・舟山地域へ輸出された。安保理の制裁決議では、北朝鮮による石炭の輸出を禁止している。

一方、7月中旬時点で制裁委員会に報告された石油精製品の輸入量は安保理が定める年間供給上限(50万バレル)の4.75%にとどまったと指摘した。21年上半期は従来より大幅に少なかったが、ある加盟国は違法に輸入している石油精製品が増えているため「安保理が定めている上限を超える」と分析している。

報告書はシンガポールに拠点を置く石油取引会社ウィンソン・グループが北朝鮮の制裁をかいくぐった燃料調達の要となっていると説明した。パネルは調査で北朝鮮に関わる取引や船舶の登録に同社名義のメールアドレスや関連する住所などが利用されていたと判明したとし、今後も同社やその子会社の調査を続けるとした。

新型コロナウイルス禍の国境閉鎖で高級品を含む消費財の輸入は事実上停止したという。ただ、車のタイヤや部品、建築・内装材、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の家族の別荘向け物資など輸入品や高級品の一部は国境の鉄道基地から南浦などの港に船で不正に運ばれたと報告した。トヨタ自動車の高級車「レクサス」ブランドの車の北朝鮮への出荷に中国企業が関与していたとも指摘した。

外貨獲得のためのサイバー攻撃の実態については、北朝鮮が特定の組織や人物を狙い、偽の電子メールを送る「スピアフィッシング」と呼ばれる手法で「仮想通貨交換所に対するサイバー攻撃を継続的に行っている」とも分析した。一方、サイバー攻撃で奪った仮想通貨の額については「調査中」のため、明らかにしなかった。北朝鮮制裁委員会専門家パネルが3月に公表した最終報告書では仮想通貨交換業者などへの攻撃で19~20年に推計3億1640万ドル(約347億円)を奪ったと報告していた。

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