23年「びっくり予想」 長引く利上げも米株は年央に底打ち

【ニューヨーク=伴百江】ウォール街のご意見番として知られる米投資ファンド大手ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏が4日、最高投資ストラテジストのジョー・ザイドル氏と共同で、毎年恒例の「びっくり10大予想」の2023年版を公表した。「米連邦準備理事会(FRB)は金融引き締めの影響で景気後退に陥るものの、株価は年央には底打ちする」との見立てを明らかにした。
びっくり予想の定義は、平均的な投資家が発生確率を3分の1程度とみるイベントで、ウィーン氏がその確率を5割以上と予想するもの。公表は今年で38回目となり、毎年市場関係者が注目している。

10大予想の冒頭にあげたのが24年の大統領選を前に、新顔の有力候補が登場するとの予想だ。民主・共和両党とも新たな有力候補が登場するとの予想が当たれば、大統領選は思いも寄らない展開をみせるかもしれない。
市場にとって今年最大の話題のひとつはFRBの利上げがいつ、どこまで続くかだ。びっくり予想ではインフレとの綱引き状態が続き、金融緩和への転換(ピボット)は訪れないとみる。さらに引き締めが長引くことで米景気はマイルドな景気後退に陥ると予想する。
目を引くのが、金融引き締めの継続と景気後退にもかかわらず、米株式相場は年央には底をつけ、年後半には金融危機後の09年の相場回復と似たような上昇が見込めるとみている点。これが実現すれば投資家にとっては朗報だ。
外国為替市場では、市場参加者にドル安予想が多いなか、対円や対ユーロでドル高が保たれると予想する。このことが長い目でみて米投資家に日本や欧州の資産に資金を振り向ける好機をもたらすとも指摘する。
地政学的リスクとして最大の懸念であるロシアのウクライナ侵攻については、年前半は紛争激化が続くと見込む。戦争の被害や犠牲が拡大するにつれ、年後半には両国に停戦の機運が高まり、領土の分割交渉が始まるとみる。
興味深いのは最後に掲げた、イーロン・マスク氏が買収したツイッターに関する見通しだ。広告主が撤退したり、債権者が会社の先行きを懐疑的にみたりしている状況のなか、マスク氏の経営改革は軌道に乗り、業績は年末までに回復すると読む。