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米共和、「脱トランプ」巡り内紛 弾劾裁判控え

共和党はトランプ前大統領をめぐって内紛状態にある=ロイター

【ワシントン=永沢毅】米共和党の内紛が激しさを増している。トランプ前大統領の弾劾決議に賛成した「反トランプ」派の下院議員の処遇を巡る3日の党会議が紛糾。陰謀論を唱える「親トランプ」派の動向も火種となっている。同氏の弾劾裁判を前に深まる亀裂は2022年秋の中間選挙にも影響を及ぼしかねない。

3日夜、連邦議会議事堂で開かれた下院共和党の会議で激しい怒号が飛び交った。「敵を手助けし、勢いづけた」。こんな非難を受けたのは、先のトランプ氏への弾劾決議の採決で民主党とともに賛成に回った10人の共和議員の1人、リズ・チェイニー氏だ。

親トランプ派の議員は下院ナンバー3の党会議議長という指導的な立場にあるチェイニー氏の造反を問題視し、役職辞任を要求した。同ポストは下院委員会のメンバーの割り当てなどを差配する要職で、ブッシュ政権(第43代)で副大統領だった父のディック・チェイニー氏が下院議員時代に務めたこともある。

米メディアによると、秘密投票によって61人がチェイニー氏の退任に票を投じた。ただ145人が留任を支持したため、結局留任が決まった。共和党の政治アナリスト、マーク・ウィーバー氏は「チェイニー氏を巡る議論は党内の親トランプ勢力の存在の大きさを示すものだ」とみる。秘密投票もトランプ氏側の報復を懸念したためにほかならない。

3日の党会議では、極右の陰謀論者「Qアノン」を信奉する新人、マージョリー・グリーン氏を巡る火種もあらわになった。同氏は就任間もないバイデン大統領の弾劾を求める動議を出した。「米国民は100%トランプ氏に忠誠を尽くしている」などと公言する人物だ。

グリーン氏は20年11月の初当選前、民主党のペロシ下院議長や米連邦捜査局(FBI)捜査員の殺害を示唆する他のユーザーのSNS(交流サイト)の書き込みに「いいね」をしていたことが1月末に発覚した。同時多発テロなどに関して事実に反する陰謀論も多数拡散していたとされる。このため民主党だけでなく、共和党からも批判が噴出している。

「クリントン一家がケネディ元大統領の息子の飛行機事故を計画したとか、そんなことを主張する人物は現実の世界に生きていない」。共和の上院トップ、マコネル院内総務は名指しを避けながらもグリーン氏をこう批判した。

共和の下院トップ、マッカーシー院内総務も「彼女の発言は党の価値観や信条を示すものではない。明確に非難する」と断じた。それでも、党内の一部が求めていた下院教育、予算両委員会からのグリーン氏の除名は見送り、具体的な処分まで踏み込まなかった。グリーン氏を切ればトランプ氏の熱烈な支持層の離反を招き、22年11月の中間選挙で下院の過半数奪還に影響しかねない。マッカーシー氏にはこんな現実的な判断が働いたとみられる。

党主流派の結束すら盤石ではない。ロイター通信はブッシュ政権の複数の元高官が共和党を離党したと伝えている。トランプ氏が訴えた大統領選の不正や連邦議会占拠事件への反発が原因で、その数は60~70人にのぼるとの見方もある。ブッシュ氏は党主流派の代表格で、チェイニー元副大統領の盟友でもある。

民主党は4日、下院でグリーン氏の委員会からの除籍を求める決議を採決する。共和党と陰謀論との結びつきを訴え、穏健な共和党支持層の離反を誘おうと揺さぶりをかける。9日に審理が始まるトランプ氏の弾劾裁判に向けて結束が欠かせない状況での内紛の激化に共和党は揺れている。

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