スペースX、大型宇宙船の試作機が爆発 軟着陸後に
【シリコンバレー=白石武志】起業家のイーロン・マスク氏が率いる宇宙開発スタートアップの米スペースXは3日、大型宇宙船の試作機をテキサス州の自社の研究開発施設から打ち上げた。約6分間飛行して降下し、目標地点への軟着陸に初めて成功したものの、その後、機体は静止した状態で爆発・大破した。
過去2回の打ち上げ試験では降下の際の速度を制御できず、地面に衝突し爆発・大破していた。3回目となった3日の試験では十分に減速した状態で目標地点に軟着陸させた。マスク氏は直後にツイッターに「無傷で着地した!」と投稿し、試験の成功を強調した。着地の際の映像ではエンジン周辺が発火している様子が認められ、試作機は数分後に着陸台に止まった状態で爆発した。

打ち上げたのはスペースXが民間資金で開発中の宇宙船「スターシップ」の試作機「SN10」。高さ約50メートル、直径約9メートルで、「ラプター」と呼ぶ3基の大型エンジンを搭載した。繰り返し打ち上げが可能で、マスク氏は月や火星に人類を送り込む計画などに利用する構想を示している。
スペースXは2020年に自社開発した宇宙船「クルードラゴン」を使い民間企業として初めて有人宇宙飛行に成功した。米国で民間主導の宇宙開発をリードする存在となっており、21年2月に実施した資金調達では企業価値の評価額は740億ドル(約7兆9000億円)に達したと報じられている。
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