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Amazon、米国でプライム17%値上げ 物流費上昇を転嫁

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【シリコンバレー=白石武志】米アマゾン・ドット・コムは3日、会員制サービス「アマゾンプライム」の年会費を2022年2月以降に米国で17%引き上げると発表した。賃金や物流費の上昇が収益を圧迫し、同日発表した21年10~12月期決算で本業のもうけを示す営業利益は前年同期に比べ50%減少した。コスト増を消費者に転嫁する動きは他社にも広がる可能性がある。

「(米国で最後に値上げを実施した)18年はもちろん、20年と比べても現在の方がはるかに価値のあるプログラムだと思っている」。3日のアナリスト向け説明会に出席したアマゾンのブライアン・オルサブスキー最高財務責任者(CFO)は約4年ぶりとなるプライム会費の引き上げに理解を求めた。

アマゾンが05年に始めたプライムは無料配送のネット通販や動画配信などの特典を受けられるサービスで、会員数は21年に世界で2億人を突破した。米国では90を超える都市圏で即日配送サービスも提供しているが、近年は賃金や輸送コストの上昇で採算が悪化していた。

アマゾンは2月以降、プライムの月会費を12.99ドル(約1490円)から14.99ドルに、年会費を119ドルから139ドルにそれぞれ引き上げる。オルサブスキーCFOは米国以外の地域の料金について「今は何も発表することはない」と述べるにとどめたが、各国・地域ごとに適正な価格を毎年評価し続ける考えを示し、今後の値上げに含みを持たせた。

人件費増で営業利益半減

3日発表した21年10~12月期決算は売上高が前年同期比9%増の1374億1200万ドル、純利益が98%増の143億2300万ドルだった。ともに過去最高を更新したが、増益要因は21年11月に上場した新興電気自動車(EV)メーカー、米リヴィアン・オートモーティブの上場に伴う株式の評価益118億ドルを計上したことによるものだ。

新型コロナウイルス下の「巣ごもり消費」の拡大で増収率が4割を超えた1年前と比べると21年10~12月期の成長は減速した。主力の直営のネット通販事業の売上高は660億7500万ドルと前年同期比で1%減だった。

人件費や物流費の上昇などインフレ圧力に関連する追加費用は21年10~12月期に40億ドル強に達した。営業費用は13%増の1339億5200万ドルと売上高の伸びを上回り、営業利益は50%減の34億6000万ドルに落ち込んだ。

米国の最低時給は18ドルに

アマゾンは最大の商戦期である年末商戦に向け、米国では梱包や配送業務に携わる社員らに平均18ドルの最低時給を用意し、勤務時間や地域によっては金額を上乗せした。これは米連邦政府が定める最低時給(7ドル25セント)を大きく上回る水準だ。

労働市場が逼迫するなか、アマゾンの大規模物流施設が立地する地域の周辺では多くの企業が時給を引き上げて対抗せざるをえなくなっている。米労働省が1月28日に発表した21年10~12月期の雇用コスト指数は季節調整前の前年同期比で4.0%上昇し、20年ぶりの伸びとなった。

一方、アマゾンのプライム会員数は米国内だけで約1億5000万人いると推計されており、米成人の6割弱が利用する計算だ。米国内の賃金上昇をリードするアマゾンによる幅広い消費者への価格転嫁への動きは、他社の判断にも影響を与える可能性がある。

米労働省が1月12日に発表した21年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が7.0%と39年半ぶりに7%台に達した。米連邦準備理事会(FRB)は金融引き締めに動く構えだが、インフレが賃金上昇を招き、さらなる物価高につながることへの警戒感が強まっている。米国の物価動向においても、IT(情報技術)大手の存在感が増している。

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