テスラとマスク氏、株式非公開化巡る集団訴訟で勝利

【シリコンバレー=白石武志】米テスラの2018年の株式非公開化の計画を巡って、一部の株主らが米カリフォルニア州の連邦地裁に起こした集団訴訟で陪審団は3日、被告である同社やイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)らが連邦証券法に違反したとする原告側の主張を退ける評決を下した。一審はマスク氏側が全面的に勝利した。
テスラの株主らが18年にカリフォルニア州北部地区の連邦地裁に起こした集団訴訟では、マスク氏が株式非公開化の計画を表明した際に、ツイッターに投稿した「資金は確保した」との文言が投資家らに損害を与えたかどうかが争点となっていた。
米メディアによると、3日の評決で9人の陪審員らは原告側がマスク氏のツイートによって損害を被ったことを証明できなかったとの判断を示した。マスク氏側はこれまでの審理のなかで、ツイッターへの投稿と株価に因果関係はないなどと主張していた。
マスク氏は3日、陪審団の評決を受けて自らのツイッターのアカウントに「よかった。人々の知恵が勝った!」と投稿した。「陪審員の全員一致の無罪評決に深く感謝する」とも書き込んだ。
原告側と被告側の双方の弁護団にコメントを求めたが、回答は得られていない。原告側の弁護士は米CNBCテレビの取材に対し「評決に失望し、次のステップを検討している」と述べ、控訴する意向を示唆した。
カリフォルニア州北部地区の連邦地裁は、マスク氏が22年10月下旬に買収した米ツイッターの本社の近くにある。同氏は地元メディアがツイッター買収に関連して同氏に関する否定的な報道を続けたと主張。同地区内から選ばれた陪審員では公平に裁くことができないとして裁判地を同州外に移すよう申し立てていたが、認められなかった。
マスク氏が18年に表明し、3週間足らずで撤回したテスラ株の非公開化計画に関しては、米証券取引委員会(SEC)も「可能性のある資金源と交渉さえしていなかった」として証券詐欺の疑いで訴えを起こした。SECとの裁判ではテスラとマスク氏は両者がそれぞれ2000万ドル(当時の為替レートで約22億円)を支払うことで和解している。

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