メタ、VR端末を値下げ 上位機種は6.7万円安く

【シリコンバレー=奥平和行】米メタは3日、仮想現実(VR)端末を世界各地で値下げすると発表した。上位機種の「Meta Quest Pro」の日本における価格は従来より6万7000円あまり引き下げ、15万9500円(税込み)とする。値下げにより普及を促し、開発者が対応ソフトなどをつくりやすい環境を整える。
Proはメタが2022年10月に発売し、業務用や高性能を求める消費者の購入を見込んでいた。まず5日に米国とカナダで値下げし、米国では従来より500ドル(約6万8000円)安い999.99ドルとする。日本など約20の国・地域では15日に価格を改定する。
普及価格帯の「Meta Quest 2」も5日に各地で値下げし、日本では内蔵メモリーが256ギガ(ギガは10億)バイトの製品を従来より約1万円安い6万4405円とする。128ギガバイトの製品は5万9400円に据え置く。旧フェイスブックは20年にQuest 2を発売し、22年8月に各地で値上げしていた。
メタは3日、「Quest 2の128ギガバイトの製品は価格を据え置くものの、256ギガバイトを値下げすることにより多くの人に没入感が高いゲームや体験を味わってもらえるようになる」と説明した。
メタは臨場感の高い仮想空間、メタバースに関連する製品やサービスを中長期的な事業の柱に据えている。手ごろな価格で端末を提供することにより普及を促し、ソフトやサービスの市場を広げる戦略を採ってきた。そのため、製品の利幅は小さく、採用などにより先行投資もかさんでいる。
VR端末などを主体とするリアリティーラボ部門は赤字基調が続き、22年10〜12月期は売上高が前年同期比17%減の7億2700万ドルにとどまる一方、営業損益は42億7900万ドルの赤字(前年同期は33億400万ドルの赤字)だった。主力のインターネット広告事業の収益力が低下するなか、一部投資家がメタバースへの投資抑制を求めていた経緯がある。
世界のVR端末市場ではメタが低価格を武器に高いシェアを握ったが、競争が激しくなる気配もある。台湾の宏達国際電子(HTC)は1月、新型端末「VIVE XR Elite」(米国における価格は1099ドル)を発表した。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)も2月、約7年ぶりに新型端末「プレイステーションVR2(PSVR2)」(7万4980円)を発売した。