アプリ自社決済の強制禁止、米上院司法委が法案可決

【ワシントン=鳳山太成】米議会上院の司法委員会は3日、アプリ配信サービスで自社決済システムの利用を強制するのを禁じる法案を可決した。米アップルと米グーグルが支配力を持つアプリ市場で競争を促し、値下がりや品質の向上につなげる狙いだ。
可決したのは「開かれたアプリ市場法案」。賛成20人、反対2人の超党派で承認した。今後は上院本会議が審議する。法案が成立するには、上下院本会議での可決や法案の一本化などの手続きが残っている。
法案は「アップストア」「グーグルプレイ」を通じてアプリを配信するアップルとグーグルが主な対象になる。アプリ開発会社に対して自社決済システムを使うよう強制するのを禁じる。他社のアプリ配信サービスも認めるよう求める。
法案づくりを主導した与党・民主党のブルーメンソル上院議員は採決に先立ち「(アップルとグーグルによる)市場支配力の乱用を防ぎ、消費者により安価で優れた製品を提供できるようになる」と意義を訴えた。
アップルはアプリの配信や決済を自社サービスに限ることで、安全性やプライバシーの保護に取り組んでいると主張してきた。他社の配信サービスを認めれば、危険なアプリが出回るなど利用者が不利益を被ると指摘し、法案に反対する。
アプリ配信サービスの見直しを求める声が高まっている。人気ゲーム「フォートナイト」の開発元は、「アップル税」と呼ばれる配信手数料を避けるため決済手段の自由化を求めてアップルを提訴した。日本や欧州などの競争当局も見直しを進める。
米議会では反トラスト法(独占禁止法)改正を目指す動きが活発だ。上院司法委は1月20日、プラットフォーム上で自社の製品やサービスの優遇を禁じる法案も可決した。過度な規制強化は競争力を損ねるとの懸念も根強く、成立はまだ見通せない。
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