米テスラ、EV用急速充電器も中国生産 年1万基

【シリコンバレー=白石武志】米テスラが中国・上海市で電気自動車(EV)用の急速充電器の生産を始めたことが3日、分かった。中国では2019年末に現地生産を始めた小型EV「モデル3」などの販売が伸びている。EV普及の鍵を握る急速充電器についても現地生産に切り替え、インフラ整備を加速する。
テスラの中国現地法人がSNS(交流サイト)「微博(ウェイボ)」への投稿で明らかにした。上海市に建設した専用工場で、15分間の充電で最大250㌔㍍の走行が可能な最新の急速充電器「V3スーパーチャージャー」を主に生産する。当初は年産1万基を予定する。
テスラは2013年に北京市に中国1号店を開き、高級セダン「モデルS」の輸入販売を始めた。同社によると、中国本土ではすでに約300都市で730カ所以上の急速充電ステーションを設置している。20年には1年間で410カ所以上の急速充電ステーションを設け、このうち180カ所以上がV3だったが、充電器は米国から輸入していた。
テスラは19年末に米国外で初となる完成車工場を上海市で稼働させ、EV本体については充電器よりも早く現地生産を始めた。車載電池などの現地調達比率を高めたことでコストを抑え、20年の1年間でモデル3の最廉価モデルの小売価格を実質3割引き下げた。
テスラは国別のEV販売台数を明らかにしていないが、調査会社のマークラインズによると20年の中国販売台数は約14万台と19年に比べ約4倍に伸び、20年の同社の世界販売台数の3割近くを占めた。21年1月にはモデル3の派生車種である小型SUV(多目的スポーツ車)「モデルY」の納車も始まり、中国販売が一段と伸びると見込まれている。
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