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米政権、ワクチン義務めぐる訴訟で劣勢 感染拡大に懸念

(更新)

【ニューヨーク=山内菜穂子】米バイデン政権が新型コロナウイルスワクチンの義務づけを巡り苦しい立場に追い込まれている。共和党優勢の州が起こした裁判で差し止め命令が相次いでいるためだ。米国内で新たな変異型「オミクロン型」の感染者が確認されるなか、義務づけで対立が長引けば感染の再拡大につながりかねない。

連邦政府は100人以上を雇用する企業に、来年1月4日までに従業員の接種を完了するように求めている。このほか、公的医療保険を受け付ける病院などの医療従事者や連邦政府職員らも義務づけの対象にしている。

多くの共和党の州知事はワクチンの有効性を認めて接種を推奨するものの、連邦政府による義務づけには一斉に反発する。「個人の自由を制限する」「連邦政府に権限はない」などと主張し、各地で差し止めを求めて提訴した。

これまでの訴訟では連邦政府の劣勢が続いている。医療従事者への義務づけを巡る訴訟で、南部ルイジアナ州の連邦地裁判事が11月30日、仮差し止め命令を出した。命令の効力は全米に及ぶとした。

大企業への義務づけでは、11月上旬にルイジアナ州の連邦控訴裁判所(高裁)が憲法上の懸念を表明し「新たな司法判断が出るまでの差し止め」を命じた。これを受けて、労働省は義務づけに関連する措置の一時的な中断に追い込まれた。

「義務づけは違憲であり、行き過ぎだ」。2日には南部オクラホマ州が州兵への義務づけを巡って提訴に踏み切った。州の発表によると、オースティン国防長官が未接種の州兵に罰則を科す考えを明らかにしたという。

連邦政府は各地の訴訟で義務づけを認めるように主張している。サキ大統領報道官は1日の記者会見で、約6割の企業が義務づけを進めているとする民間調査結果を紹介。訴訟の見通しについて「我々は自信を持っている」と語った。

義務づけの効果も訴える。11月下旬を接種期限とした連邦職員は96.5%が接種を終えた。食肉大手タイソンフーズなど既に義務づけた企業でも接種割合が90%を超えていると指摘する。

各国でもオミクロン型の広がりなどを受けて義務づけを巡る議論が進む。ドイツでは連邦議会での議論後、2022年2月にも義務づけが始まる見通しだ。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は1日、義務づけに向けて議論を始めると表明した。

オミクロン型の感染者は米国でも確認されている。冬場の感染拡大への懸念が高まるなか、接種義務づけを巡る対立が今後の感染防止対策の障害になりかねない。

「裁判所で検討されている間は、義務づけの拡大はしない」。義務づけの先駆けといえる米国の足踏みに、バイデン大統領は2日、苦しい胸の内を明かした。「感染対策はすべての米国人が賛同できるものにしたい。私たちを分断させるのでなく、団結させるべきだ」

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