米、学校給食の基準厳格化へ 保守派の反発も

【ワシントン=芦塚智子】ビルサック米農務長官は3日、米国の学校給食の新たな栄養基準案を発表した。菓子パンやヨーグルトなどの加糖を初めて制限するほか、塩分も段階的に減らす。米国では子供の肥満が問題となっているが、「個人の自由」を主張する保守派や一部食品業界の反発が予想される。
ビルサック氏は農務省主催のイベントで「米国で子供が食べる最も栄養価の高い食事は学校給食だ」と学校給食の栄養基準の重要性を説明。子供や若者の肥満率は1970年代から3倍以上上昇し、5人に1人が肥満の問題を抱えていると指摘した。
新基準案は、2025年秋から朝食のコーンフレークや菓子パン、ヨーグルトなどの加糖制限を始め、27年秋には制限を給食全体に拡大する。また25年と27年、29年に朝食や昼食の塩分を10%ずつ減らす。全粒粉小麦を使った食品も奨励する。
オバマ政権時代には当時のミシェル大統領夫人が子供の肥満削減と食育を最優先課題に掲げ、学校給食に野菜や果物を増やし糖分や塩分を減らすなどの取り組みを進めた。しかしトランプ政権下では「学校給食を再び偉大に」と銘打ってこうした取り組みを転換し、「子供が食べなければ給食が無駄になる」として規制緩和を進めた。今回の新基準案は方針の再転換となる。

アメリカの「バイデン政権」に関する最新ニュースを紹介します。その他、日米関係や米中対立、安全保障問題なども詳しく伝えます。