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米連邦最高裁、支持率は過去最低 新会期の判断に注目

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【ワシントン=赤木俊介】米連邦最高裁は3日に始まった新会期で、選挙区割りや大学入試の選抜基準における人種の扱いなどを審理する。前会期では人工妊娠中絶や銃規制といった世論を二分する問題で判断を下し、国民の一部の不満を反映し最高裁の支持率は過去最低を記録した。最高裁人事は11月の中間選挙の争点の1つにもなっており、新会期の審理に注目が集まっている。

最高裁は新会期で、南部ノースカロライナ州の選挙区割りをめぐり、共和党主導の州議会が決めた区割りに州の裁判所が介入できるかを審理する。州議会の権限を拡大する判断を下せば、全米の州議会の約6割で多数派を占める共和党に有利になるとの見方が強い。また大学が入試の選抜基準に人種を含めることの合憲性を問う案件も審理する。いずれも来夏までに判断を下す。

最高裁は判事9人で構成し、現在の構成は保守6人、リベラル派3人と保守に大きく傾いている。前会期末の今年6月には中絶を憲法が保障する権利と認めた1973年の判決を覆す判断を下し、リベラル派を中心に反発が広がった。

米調査会社ギャラップが9月29日に発表した世論調査によると、連邦最高裁の支持率は2021年10月の調査に並ぶ過去最低の40%となった。不支持率は過去最高の58%に達した。最高裁が「保守的すぎる」と回答した18歳以上の成人も42%と過去最高だった。

最高裁判事は連邦議会上院が承認する。中間選挙で野党・共和党が上院の多数派を奪回すれば、最高裁判事に欠員が出た場合にバイデン大統領が指名する候補の承認が難航する可能性が高い。特に最高裁のさらなる保守化を警戒する民主党支持者の関心が高い。米民間調査団体ピュー・リサーチ・センターが8月23日に発表した世論調査では、米有権者の58%が最高裁判事人事を中間選挙の重要な課題と答えている。

最高裁に対する評価を巡っては、判事の間でも対立が露呈している。リベラル派のケーガン判事は9月12日、ニューヨーク市内での講演で「判事が政治的・個人的な思惑をもとに判断を下すと正当性を損ないかねない」と強まる最高裁の党派色に懸念を示した。一方で保守派のロバーツ判事は同9日のイベントで「批判されるのは構わないが、意見の食い違いをもとに最高裁の正当性を疑問視する主張は理解できない」と反論した。

新会期の判断次第では世論の分断がさらに広がり、最高裁の改革を求める声が高まる可能性もある。

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