米有名タレント、SECに和解金1.8億円 仮想通貨宣伝巡り

【ニューヨーク=佐藤璃子】米証券取引委員会(SEC)は3日、米有名タレントのキム・カーダシアン氏が暗号資産(仮想通貨)を違法に宣伝していたとして、同氏が126万ドル(約1億8300万円)を支払うことで和解したと発表した。SECはかねて、セレブの関与する金融商品の投資が過熱する状況に警告を発している。
SECの発表によると、カーダシアン氏は自身の写真共有アプリ「インスタグラム」のアカウントで、仮想通貨関連企業のイーサリアムマックスが提供するイーマックストークンに関する投稿をした際、25万ドルの報酬を受け取ったことを開示していなかった。同氏はイーサリアムマックスのウェブサイトのリンクを添付し「あなたたちは仮想通貨に夢中?」と発信していた。
証券法では宣伝時に受け取った報酬を開示する義務がある。カーダシアン氏は100万ドルの罰金に加え、受け取った報酬と利息を含む26万ドルを支払うことでSECと和解した。進行中の調査に協力し、今後3年間いかなる仮想通貨の宣伝もしないと同意した。
SECのゲーリー・ゲンスラー委員長は同日、「有名人やインフルエンサーが仮想通貨を含む投資機会を推奨していても、それらの投資商品がすべての投資家に適しているとは限らない」と指摘した。
今年初めには、カーダシアン氏と元プロボクサーのフロイド・メイウェザー氏がイーマックストークンを宣伝し、人為的に価格をつり上げたとして投資家らが提訴した。
2020年には俳優のスティーブン・セガール氏が、報酬を開示しないまま「B2G」と呼ばれるトークンの宣伝をしていたとして、SECに罰金を支払って和解した。21年にはJリーグのヴィッセル神戸に所属するアンドレス・イニエスタ選手がSNS(交流サイト)で仮想通貨の取引会社を宣伝するような投稿をし、スペイン当局が注意を促した。