米国防長官、対北朝鮮で抑止力強化 「戦力を機動展開」

【ワシントン=中村亮】米国のオースティン国防長官は3日、国防総省で韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相と会談した。北朝鮮への拡大抑止力を強めるために米軍の戦力を機動的に展開する方針を確認した。日米韓でミサイル防衛に関する協力を深めることで一致した。
オースティン氏は共同記者会見で弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮について「無責任で無謀な活動を強く非難する」と断じた。「(米国が韓国に提供する)拡大抑止力へのコミットメントは断固たるものだ」と唱え、核兵器や通常兵器、ミサイル防衛戦力を駆使して北朝鮮を抑止すると訴えた。
拡大抑止は、敵国が米国の同盟国に対して攻撃を仕掛けた場合に、米国が反撃すると事前に予告して攻撃を思いとどまらせることを意味する。
米韓は共同声明に「必要に応じて米国が機動的かつ協調的なやり方で戦略的戦力を朝鮮半島に展開する方針を再確認した」と記した。
米韓両軍が10月末に始めた合同訓練「ビジラント・ストーム」には米軍から最新鋭ステルス戦闘機F35Bが参加。4日に訓練を終える予定だったが、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて延長を決めた。国防総省の報道担当者によると、5日まで実施する。米軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」は9月下旬、4年ぶりに韓国へ寄港した。
米韓の国防相は会談後、ワシントン近郊に位置するアンドルーズ空軍基地を訪れて戦略爆撃機B52などを視察した。米軍の戦力を示して北朝鮮を抑止する狙いがある。
共同声明によると、オースティン氏は北朝鮮が核兵器を使えば「金正恩(キム・ジョンウン)体制の終わりにつながる」との見方も示した。米韓は北朝鮮が核兵器を使った場合の対処策を詰めていく方針だ。
日米韓の防衛協力では、ミサイル防衛や対潜水艦作戦に関する共同演習を続けるとした。3カ国の高官協議を定期的に開いて防衛協力の拡大を探っていくと言及した。日米韓は、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が5月に発足してから防衛協力を徐々に深めている。