米年末商戦予測、売上高6~8%増 インフレで消費減速

【ニューヨーク=白岩ひおな】全米小売業協会(NRF)は3日、2022年の米年末商戦の売上高が21年に比べ6~8%増になるとの見通しを公表した。過去10年の平均伸び率4.9%は上回るが、前年の13.5%からは大きく減速する。消費者がインフレ下で必需品以外への支出を削るなか、物価上昇率を差し引いた実質売上高の減少を指摘する声もある。
NRFの推計では、11~12月の年末商戦の売上高(自動車・ガソリン・外食除く)は9426億ドル~9604億ドル(約139兆~142兆円)と、21年実績(8893億ドル)から6%~8%増加する見通しだ。このうち、インターネット通販の売上高は10~12%増の2628億~2676億ドルを見込む。
消費者の平均支出額は832.84ドルと過去10年の平均と同水準だが、物価上昇を考慮すると購入点数は減少しそうだ。NRFのマット・シェイ最高経営責任者(CEO)は食品などの価格高騰が家計を圧迫し、米国の消費者が例年より買い物に慎重だと説明し「クリスマスギフトや年末年始の出費に影響する可能性がある」と指摘した。年末商戦に備えた小売り各社の季節雇用も45万~60万人と、21年の66万9800人を下回る。
米コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーは年末商戦の売上高をめぐり、前年からの伸び率は7.5%、インフレ調整後の伸び率は1~3%と予想する。一方、アリックスパートナーズは4~7%の伸びを予測し、インフレ調整後は減少になるとみる。
インフレ下で迎える今年の年末商戦は、在庫削減を急ぐ各社がセール時期を前倒ししている。ネット通販最大手のアマゾン・ドット・コムやディスカウントストア大手ターゲットは前倒しのセールをそれぞれ10月に実施した。米小売り大手ウォルマートや百貨店大手メーシーズなどは7日からセールを開始する。11月末の感謝祭翌日のブラックフライデー(今年は25日)をピークに、消費意欲の喚起につなげられるかが注目される。