米NYタイムズ、海外読者が100万人突破 9月末時点

【ニューヨーク=清水石珠実】米新聞大手ニューヨーク・タイムズは3日、2021年9月末までに海外からの有料購読者数が100万人を超えたと発表した。電子版や紙媒体、アプリの利用者を合わせた全体の総有料読者数は838万人だった。英語でニュースを読みたいという米国外の読者を取り込む戦略が奏功し、海外読者が全体の約12%を占めるまでに成長した。
21年9月末時点の電子版の有料読者数は565万4000人と、3カ月間で32万人伸びた。ニュースレターの一部を有料会員専用に切り替えるなどの取り組みを通じて、無料読者を有料読者に誘導することに成功した。また、7~9月期は米軍のアフガニスタン撤退やセクハラ問題に端を発したニューヨーク州クオモ前知事の退任などが重なり、読者獲得の追い風になった。
クロスワードや料理レシピなどのアプリを合わせたデジタル関連の有料会員数は合計で758万8000人となった。同社は「25年までに有料読者数1千万人」を経営目標に掲げている。
3日発表した7~9月期決算は、売上高が前年同期比19%増の5億910万ドル(約580億円)、純利益は63%増の5465万ドルとなった。売上高の6割以上を占める購読料収入が14%増えたうえ、新型コロナウイルス禍からの経済再開の流れを受けて、広告料収入も約4割増と好調だった。1株利益は0.32ドル(前年同期は0.20ドル)。特殊要因を除くと0.23ドルと、市場予想(0.20ドル程度)を上回った。
トランプ前大統領の退任以降、米読者の報道への関心が薄れ、長期的な成長鈍化を懸念する意見も出ていたが、同期の決算はこうした懸念を払拭する内容だった。