米、オミクロン拡大で学校再開ピリピリ 子供の感染急増

【ニューヨーク=大島有美子】新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が急拡大する米国で、学校の再開を巡って教育現場が頭を悩ませている。休校やオンライン授業への移行、検査の拡大などの感染防止策を急ぐ一方、コロナ下に入って3年目となり、教育の「空白」による学力の低下も課題となっている。
米ジョンズ・ホプキンス大によると、2日の米国の新規感染者数(7日移動平均)は40.3万人となり、6日連続で過去最多を更新した。米疾病対策センター(CDC)によると、新規入院患者数は12月26日~1月1日の平均で1日当たり約1万2700人となり、前週比で46%増えた。約1年ぶりの高水準だ。
特に深刻なのが子供の状況だ。17歳までの新規入院患者数は同574人で前週から倍増し、過去最高を更新した。米食品医薬品局(FDA)は3日、16歳以上が対象だったワクチンの追加接種(ブースター接種)を12~15歳にも認めた。
米教育省は2021年、大多数の学校で対面授業ができなくなった結果、子供の学習進捗が遅れたり、家庭内の環境によっては子供が孤独感を抱えたりするなどの悪影響を指摘した報告書をまとめた。3日に対面授業を再開したニューヨーク市のアダムス市長は「学校は子供たちにとって安全かつ安定した場所という役割を果たす」と強調した。
足元の感染拡大は教育現場に混乱をもたらしている。学校の再開状況をまとめる調査サイト「バービオ」によると、「K-12」(5~18歳)の公立学校は、米東部時間3日午後6時(日本時間4日午前8時)時点で、約3200校が対面授業をやめている。米中西部ウィスコンシン州ミルウォーキー市の公立学校では、教職員の間で感染が広がったため、4日から予定していた対面授業をやめ、オンライン授業に移行する。
対面授業を続ける学校は試行錯誤している。ニューヨーク市では、学校再開に向けて約150万の検査キットを用意した。校内で感染者が出れば、周囲にいた人を検査し、陽性者を隔離する。
ロイター通信によると、首都ワシントンでは公立学校の教職員と5万人超の生徒に、教室に来る直前にコロナ検査を受け、陰性証明を提出するよう要請した。西部カリフォルニア州でも600万人の公立学校の生徒に、家庭用の検査キットを無料で配布する。
企業の在宅勤務への移行も進んでいる。米国でいち早くオフィス再開にカジを切っていた金融機関では、JPモルガン・チェースのほかゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカなどが、2日にかけて従業員に当面の在宅勤務を推奨した。
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