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中国と対話、米が気候変動から探る 「緊張悪化望まず」

USTR代表、政策転換を訴え

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【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権が中国との貿易関係を見直すため対話にカジを切る。気候変動で協力を探るなか、対中関係の悪化を避ける狙いがあるが、中国が米国の要求に応じて譲歩するかは見通せない。米国内の対中強硬派から弱腰との批判を浴びる可能性もある。

「全体的で現実的な新しいアプローチが必要だ」。米通商代表部(USTR)のタイ代表は4日の演説で、同盟国との連携などトランプ前政権からの政策転換を訴えた。「我々の目的は対中貿易で緊張関係を悪化させることではない」と強調した。

米政府高官は3日、記者団に「我々は前政権の誤った戦略を拡大しない」と述べ、トランプ前政権の政策を批判した。

ただ、実際は前政権の措置をほぼ踏襲する。トランプ前大統領が支持者に誇示した「第1段階の合意」や制裁関税をそのまま引き継ぐほか、関税の適用除外制度も再利用する。同盟国との協力は具体策が乏しい。

背景にはトランプ政権の政策が一定の評価を得ていることがある。タイ氏も「(第1段階合意で)農産品の輸出市場は安定した」と認める。農産品に限れば中国の米国からの輸入量は目標の9割に達した。対中強硬論が高まる議会は厳しい措置の継続を求める。

対話を重視するのは、政権内の穏健派が関係悪化を懸念するためだ。ケリー米大統領特使は10月末に開幕する第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を前に「気候変動で米中協力が不可欠」と訴え、9月に続く中国の再訪問に意欲を示す。

中国市場に頼る米産業界にも配慮せざるを得ない。全米商工会議所など主な経済団体は8月、適用除外制度の再開を促す書簡をバイデン政権に送っていた。

政権の対中姿勢は微妙な変化が見て取れる。バイデン大統領は9月、習近平(シー・ジンピン)国家主席との電話で衝突を避けるため対話の必要性を指摘した。華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)も解放した。

バイデン政権への逆風は強い。アフガニスタンからの米軍撤収の混乱で不支持率が支持率を上回った。インフラ投資や気候変動対策など看板の経済政策は与党・民主党内の内紛で実現が遅れている。脱炭素の米中協力は支持者に訴えられるテーマだ。

対話を重視する政策が奏功するか。中国が第1段階合意を守ったり、不公正な貿易慣行をやめたりするかは不透明だ。トランプ政権の元高官は「制裁関税を活用せずに中国の態度をどうやって変えるのか」と首をかしげる。

中国の習指導部は台湾や南シナ海などで一段と威圧的な行動に出ている。制裁強化を唱える政権内の強硬派が巻き返すシナリオもあり得る。弱腰批判が高まれば2022年秋の中間選挙に不利に働くだけに、バイデン氏は難しい「次の一手」を求められる。

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