トランプ氏弁護団、弾劾裁判「上院に権限なし」

【ワシントン=永沢毅】米連邦議会占拠事件で下院に弾劾訴追されたトランプ前大統領(共和党)の弁護団は2日、弾劾裁判に向けた準備書面を上院に提出した。大統領を退任した点を踏まえて「上院に前大統領を裁く権限はない」と訴えた。トランプ氏の演説が支持者を扇動したとの民主党の主張も否定した。
書面では「弾劾裁判は表面的にも実質的にも欠陥があり、違憲だ」と主張した。トランプ氏が占拠前に実施した演説に関しても「(言論の自由を保障する)合衆国憲法修正第1条に基づき、自らの意見を表明することは認められている」との見解を示した。
弾劾裁判で検察官役を務める民主党の下院議員9人は上院に出した文書で、占拠事件に関し「(トランプ氏の)責任は明白だ」と訴えた。
弾劾裁判の審理は9日から始まる。共和党所属の上院議員50人のうち45人が今回の裁判が「違憲」との判断を示しており、無罪評決になる公算が大きい。有罪評決は上院(定数100)の出席議員の3分の2の賛成が条件で、共和党から17人以上の造反が必要になる。