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ランサムウエア防衛で連携へ 米、G7で対ロ包囲網

FBIのレイ長官は約100種類のランサムウエアを調査対象にしていると明らかにした=AP

【ワシントン=中村亮】サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は7日、今週始まる主要7カ国首脳会議(G7サミット)でランサムウエア(身代金要求型ウイルス)への協調対処に向けた行動計画の策定を目指すと明らかにした。ロシア政府がハッカー集団を黙認していると断じ、国際包囲網をつくり、是正を求める。

サリバン氏は7日の記者会見で「米国の重要インフラに対するランサムウエア攻撃(への対処)は安全保障政策の優先事項だ」と強調した。G7サミットで対策を議論し、ロシア政府に対しハッカー集団の摘発を強化するよう協調して要求したい考えだ。ランサムウエア防衛での協力に加え、身代金の支払い手段に使われる暗号資産(仮想通貨)も議論のテーマになる。

米政権は独自の対処も急ぐ。司法省は7日、米東海岸の燃料パイプラインがランサムウエア攻撃を受けて停止した問題で、犯罪グループに支払われた身代金の大部分を奪還したと発表した。犯罪グループはロシアに拠点を置くとみられている。モナコ司法副長官は記者会見で「ランサムウエア攻撃は規模と巧妙さを増している」と指摘し、企業に対しサイバーセキュリティーを強化するよう訴えた。

米政権はランサムウエア攻撃の脅威をテロと重ねる。米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は3日の米メディアのインタビューで、ランサムウエア攻撃をめぐり「2001年9月の米同時テロが提起した課題と多くの類似点がある」との認識を示した。ロイター通信によると、司法省はランサムウエア攻撃に関する捜査の優先度をテロ対応に近い水準へ引き上げ、情報収集もテロ対策に使う手法を採用した。

レイ氏によると、FBIは約100種類のランサムウエアを調査対象としており、その多くがロシア発祥だという。

米海軍大学院で講師を務めるスコット・ジェスパー氏はロシア政府がハッカー集団を黙認する理由の一つは、米欧の民主国家への信頼を損ねるためだと指摘する。パイプライン運営大手への攻撃ではガソリン価格が一時急上昇した。ジェスパー氏は米政府が日常生活を守れないとの疑心暗鬼が米国民に生まれたとみる。ハッカー集団は金もうけを目的に攻撃したが、その効果はロシア政府の国益と合致していたと分析する。

元米国土安全保障省高官のスーザン・スポールディング氏は「ロシア政府が将来的にハッカー集団に対し他国へのサイバー攻撃を命じることを想定し(あえて)摘発を行っていない」と指摘する。ハッカー集団の単独攻撃とすれば政府の関与を否定しやすい面もある。米ロ首脳会談で是正を訴えてもロシア政府の対応が即座に改善するとは考えにくいと指摘する。

ランサムウエアへの対抗措置をめぐり元米政府高官は、ハッカー集団の活動を十分に取り締まっていない国の政府に対してバイデン政権が制裁を科すことを検討しているとみる。同高官によると、米国はこれまで政府がサイバー攻撃に直接関与したと確認できなければ、その政府に対し制裁を科すことに慎重だったという。

米政権がハッカー集団の活動を黙認しているとみなすのはロシアだけではない。米国家情報長官室は4月に公表した報告書で、ロシアに加え中国やイラン、北朝鮮も「米国を標的とするサイバー犯罪者に対して安全な隠れ家などを提供している」との見方を示した。

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