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米経済の回復一段と 地区連銀報告、物価上昇を警戒

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求人広告を掲げる衣料品店(米カリフォルニア州、2021年5月)=ロイター

【ワシントン=長沼亜紀】米連邦準備理事会(FRB)が2日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)は、米経済が4月上旬から5月下旬にかけて一段と上向いたとの判断を示した。新型コロナウイルスのワクチンが普及し景気が回復する一方、サプライチェーン(供給網)の逼迫など企業がコスト増に直面しており、一段の物価上昇圧力に警戒感を示した。

ベージュブックは「前回(2月下旬~4月上旬)より幾分速いペースで緩やかに拡大した」と総括した。飲食サービス業、ホテル・レジャー産業、小売業の伸びが力強く、製造業も良好だった。ニューヨーク地区の小売りチェーンは「海外からの観光需要が弱いにもかかわらず、売り上げは計画を上回った」とした。ホテルの客室稼働率も回復しており「出張、会議、イベントの予約も増え始めた」(アトランタ地区の旅行業者)という。

人手不足深刻「時給1500円でも採用できない」

景気回復に伴い雇用は着実に増えた一方、人手不足も鮮明だ。企業からは「異常なほど労働者を見つけるのが難しい」(ボストン地区の製造業)との声もあがった。低賃金労働者や運転手、専門技能を持つ労働者の採用が難しく、求人が埋まらず需要増に応じて増産できなかったり、時短営業に追い込まれたりする企業が出ている。

人手不足で賃金上昇圧力も強まっており、「時給14ドル(約1500円)でも未熟練労働者の求人が埋まらない」(ダラス地区の製造業者)といった例も聞かれた。より高い賃金や適職を求めて転職する人も増えており、ニューヨーク地区では、主要産業の相当数の企業が賃上げを計画しているという。

半導体不足「生産計画の制約に」

半導体などの部品調達難も深刻になっている。報告書には「半導体の不足が将来の生産計画の制約となっている」(フィラデルフィア地区連銀)「半導体不足で新車の供給が減り、在庫は極めて低水準だ」(リッチモンド地区の自動車販売店)といった内容が盛り込まれた。特に建設資材や原材料の急騰を指摘する声が目立った。輸送、梱包の費用や石油化学製品も値上がりした。

人件費や調達難に伴い、物価上昇圧力は強まっている。「部品メーカーが(人手不足により)以前よりも頻繁に価格を上げてきている」(クリーブランド地区の製造業)といった指摘が目立った。強い需要を背景に製造業や建設業、輸送業などの企業の多くがコスト上昇分を商品やサービス価格に転嫁しており、報告書は足元で「物価上昇圧力が一段と強まっている」と指摘した。先行きについては、コスト増と価格上昇は今後数カ月続くとの見方が多い。

同報告は、5月25日までの情報に基づき、全米の12地区連銀が経済動向をまとめたもので、15~16日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の検討資料になる。

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