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テスラ悩ます中国依存のジレンマ EV販売、米中が逆転

中国で21年に現地生産車の引き渡しを始めたテスラの「モデルY」

【シリコンバレー=白石武志】米テスラが米中対立のはざまで揺れている。2日に発表した2021年4~6月の電気自動車(EV)の世界販売は好調な中国事業に支えられ四半期として過去最多を更新したが、足元では品質問題をめぐって中国当局とのあつれきが目立つ。米中の緊張関係の高まりが販売減速を招くリスクも意識され始めた。

テスラが2日発表した4~6月のEV世界販売台数は前年同期比2.2倍の20万1250台となり、四半期として初めて20万台の大台を超えた。米中の両工場で生産する主力車「モデル3」と派生車種「モデルY」の販売台数が2.5倍の計19万9360台となり、全体の99%を占めた。

テスラは地域別の販売台数を明らかにしていないが、調査会社のマークラインズによると21年4~5月の中国販売は前年同期比4倍の約5万9000台となり、同じ期間に3倍の約4万5000台だった米国販売を上回った。19年末に上海市で現地生産を始めてから2年足らずで、同社にとって中国が最大の市場になった。

好調な販売の一方で、中国では品質問題の対応をめぐってテスラへの批判が高まっている。4月に開かれた上海国際自動車ショーでは衝突事故を起こしたというテスラ車の女性オーナーが同社ブースの展示車の屋根に乗り、ブレーキ品質に問題があると抗議。中国国営メディアなどが大きく報じる事態になった。

中国の国家市場監督管理総局なども異常加速などの問題が報告されているとしてテスラに対策を求めており、テスラは6月下旬に自動運転システムに不具合があるとの理由で中国で19年以降に販売した約28万6000台を「リコール」すると届け出た。無線通信によるソフトウエアの更新で対応可能としているものの、同期間の中国販売台数の9割超に相当する規模だ。

テスラは中国・上海の工場について、敷地拡張の計画を中止したと報じられた

中国では安全保障上の対立が現地に進出する外資系企業のダメージを招くケースが多い。17年には在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)をめぐって対韓感情が悪化し、それまで中国市場でシェア3位前後だった韓国・現代自動車は不買運動に直面して長期的なシェア後退を余儀なくされた。

テスラの上海工場は市場開放を印象づけたい中国政府が外資による単独出資を初めて認めた自動車工場だ。テスラは日米欧のライバルメーカーに先駆けいち早くEVの現地生産体制を整え先行者利益を謳歌してきたが、稼働から2年足らずで政治的な風向きは様変わりした。

ロイター通信は5月、テスラが上海市でEV工場用地の追加取得計画を中止したと報じた。以前の計画では既存工場の敷地を拡張し、工場を増設して欧州や日本、米国などへの輸出拠点とする考えだったが、米中対立が長引いたことで中国生産比率を制限する方針に転じたという。

株式市場の一部では「中国リスクは積極的な成長計画にとって脅威となる」として、テスラ株の下落を見込んで積極的な空売りを仕掛ける動きもある。米中対立が一段と深まれば知名度の高さがあだとなり、テスラが米国側に圧力をかけるための格好の標的となる可能性もある。

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