米CNN、ザッカー社長辞任　女性幹部との交際報告せず

【ニューヨーク=清水石珠実】米ニュース専門局CNNのジェフ・ザッカー社長が2日、同職を辞任した。社内の女性幹部と交際している事実を会社側に報告していなかったため。CNNを傘下に持つ米通信大手AT&Tのメディア事業「ワーナーメディア」は、後任探しに入る意向を示した。

ザッカー氏は2日、CNN社員向けに書簡を送り、即日退任する意向を伝えた。書簡のなかで、20年以上仕事上の付き合いがある女性幹部とこの数年で恋愛関係になったことを告白。「交際が始まった時点で報告する義務があったが、しなかった。私は間違っていた」と退任する理由を説明した。

昨年、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ前知事がセクハラ行為で辞任した問題を巡って、当時CNNの人気キャスターだった同氏の弟、クリス・クオモ氏が兄に対応を助言していたことなどが問題視された。CNNは最終的にクリス氏を解雇したが、この問題の調査段階でザッカー氏の交流関係も調べられたという。

ザッカー氏は別のメディア大手NBCユニバーサルの経営トップを経て、2013年にCNN入りした。NBC時代には「おまえは首だ！」が流行語になったリアリティー番組でトランプ前米大統領を起用し、トランプ氏が全米で知名度をあげるきっかけをつくった。視聴率を取れる番組作りで定評がある。

CNNは現在、ストリーミング配信サービス「CNN＋（プラス）」の立ち上げ準備中だ。また、CNNを抱えるワーナーメディアは親会社AT&Tから分離して、別のメディア企業ディスカバリーと統合する作業の最終段階にある。大きな過渡期を前に、CNNはキーマンを失うことになった。