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米軍アフガン駐留、失われた「大義」 世論が離反

(更新)

【ワシントン=永沢毅】バイデン米政権がアフガニスタン戦争を「撤収」という形で終わらせた背景には、もはや戦争の大義が見いだしにくくなっていることがある。戦闘の長期化で米兵の犠牲者が拡大し、戦況の偽装工作も民意の離反に拍車をかけた。歴代政権が先送りを重ねてきた撤退の決断をバイデン氏に迫った。

2001年10月に米英両軍がアフガン空爆を始めた直後、米紙ワシントン・ポストの世論調査によると米国民の94%が軍事行動を支持した。1812年の米英戦争以来となる米本土への直接攻撃に米世論は憤激し、ブッシュ大統領への支持率も93%と空前の高水準を記録した。

「1週間で終わるか、3年かかるか分からない」。ブッシュ氏自身が手探りであることをみとめたアフガン戦争に、米世論はお墨付きを与えた。

11年5月、オバマ政権は「テロとの戦い」の転換点を迎える。パキスタンに潜伏していた同時テロ事件の首謀者、ウサマ・ビンラディン容疑者の殺害成功だ。アフガン戦争の主要な任務の一つをほぼ10年かけて達成し、区切りをつける機会となるはずだった。バイデン政権のアドバイザーも「このタイミングで区切りをつけるべきだった」とみる。

ただ、イスラム主義組織タリバンが勢力を増すなかで現地の治安情勢は改善せず、米軍は駐留を続行した。オバマ政権は自らの任期満了前の16年末としていた撤収目標の見直しを余儀なくされた。後を継いだトランプ政権もマティス国防長官やマクマスター大統領補佐官ら軍人出身の幹部が主導して早期撤収に反対し、むしろ増派を進めた。

当初の米国民の熱狂は消えうせ、関心すら薄れるなかでもはや戦争自体が自己目的化しているかのような様相も呈した。19年末に米紙ワシントン・ポストが報じた米政府の内部報告書で、軍事作戦の成功を装うために歴代米政権が統計データを改ざんしていた疑いが出た。支援資金が「目的もなしに使われていた」との証言もあった。

アフガン戦争に関与する4人目の米大統領となったバイデン氏に選択肢はそれほど残されていなかった。撤収に伴う混乱が批判を浴びたが、タリバンによるカブール陥落後も撤収そのものへの支持は高い。米CBSテレビの世論調査(8月18~20日に実施)によると63%が撤収に賛成し、反対は37%にとどまる。

テロとの戦いに力を割かれた米国は中国の台頭を許した。足元ではグローバル化に政府不信も相まって白人労働者層の間で反エスタブリッシュメント(支配層)の機運を醸成し、トランプ大統領誕生の土壌を作った。米国のいまを形作った起点はこの戦争にある。

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アフガン情勢

アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが首都カブールを制圧し、大統領府を掌握しました。米国は2001年の米同時テロをきっかけにいったんはタリバンを打倒しましたが、テロとの戦いは振り出しに戻りました。アフガニスタン情勢を巡る最新の記事をこちらでお読みいただけます。

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