米国務長官、2月の中国訪問で習主席と会談へ FT報道

【ワシントン=坂口幸裕】英紙フィナンシャル・タイムズは2日、ブリンケン米国務長官が2月上旬に中国を訪れる際に同国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談すると報じた。米中は台湾や人権など幅広い問題で対立を抱えつつ偶発的な軍事衝突を避けたい思惑で一致しており、習氏が会談を受け入れれば対話を重視する中国側の姿勢が明確になる。
米国務長官の訪中は2018年10月にトランプ前政権のポンペオ氏が訪れて以来になる。22年11月にインドネシアで対面会談したバイデン米大統領と習氏は高官による対話を続けると合意。気候変動や世界経済の安定などを話し合うため、ブリンケン氏が22年初めに訪中すると申し合わせた。
ブリンケン氏は5〜6日に北京を訪れる予定だ。中国外交担当トップの王毅(ワン・イー)氏や秦剛外相とも会う見通しだ。中国が軍事威圧を強める台湾海峡や核・ミサイル開発を続ける北朝鮮など地域情勢についても意見を交わす。米国は中国で拡大する新型コロナウイルス対策での協力を提起する構えだ。
米国務省のプライス報道官は2日の記者会見で、ブリンケン氏と習氏の会談について「何も決まっていない」と述べた。訪中での高官との会談に関し「米中の競争分野だけでなく、協力関係や対立する可能性のある要素も含まれる」と話した。
中国は22年8月に当時のペロシ米下院議長が訪台したことに反発し、台湾周辺で軍事演習を拡大。新疆ウイグル自治区などでの人権侵害を批判する米国を「内政干渉だ」と非難する。プライス氏は「競争が紛争に発展しないようにする。世界で最も重要で複雑な2国間関係を責任を持って管理する」とも語った。
米中は先の首脳会談を踏まえ、意思疎通を維持して偶発的な衝突を回避する環境づくりに軸足を置く。1月にはイエレン米財務長官と中国の劉鶴(リュウ・ハァ)副首相がスイスで会談。経済・金融面での対話強化や、気候変動対応を巡る途上国への金融支援で協力すると確認した。相互訪問も検討する。
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