/

FRBに「ツイスト・オペ」の思惑(NY特急便)

米州総局 後藤達也

(更新)
ブレイナードFRB理事が金利の動きを注視すると発言=ロイター

金融市場で3月16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)への関心がにわかに高まってきた。先週の米長期金利の急上昇を受けて、対応策を議論する可能性が市場で意識されているためだ。長期金利の上昇を抑えるよう国債の購入年限を調整する「ツイスト・オペ」が検討されるとの思惑も出ている。

「債券市場の価格や変化のスピードには細心の注意を払っていく」。米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は2日、長期金利への警戒姿勢をのぞかせた。先週の金利急上昇も「目に留まった」と発言。これまでFRB幹部は最近の金利上昇を「景気見通しの上振れを映したもの」といった発言にとどめていたが、ブレイナード氏は一歩進め、軽くけん制したような形となった。

米10年債利回りは先週、一時1.61%まで急上昇した。1カ月で0.5%あまりも上昇するのはまれだ。景気急回復が意識される中、「債券の買い手が細っており、ある程度の売りが出ると金利が急上昇しやすい」(債券トレーダー)状況だ。

景気回復に伴う緩やかな金利上昇であれば、FRBも問題視はしない。だが、金利上昇が急ピッチになると、市場心理が不安定化する。売りが売りを呼び、経済の実態とかけ離れて金利が急上昇するおそれもある。先週は主要IT(情報技術)株が崩れるなど、株式市場にも動揺が波及した。

民間エコノミストの間ではFRBが早ければ3月のFOMCで対応策を議論するとの見立てが浮上している。バンク・オブ・アメリカが予想するのがツイスト・オペだ。国債の購入量は維持しつつも、短期債を減らして、長期債を買うように調整する手法だ。一時的措置として、国債購入額を全体で増やすという観測も出ている。

2020年3月にFRBが資産購入を再開したのは国債市場の機能を維持するためだった。流動性が細り、金利は乱高下。米国債市場は「国際金融システムの土台」であり、市場が落ち着かなければ社債や銀行間金利など様々な経路を通じて、信用収縮を招きかねない。今回は昨年3月ほどの震度ではないが、金利上昇を放置していると事態が悪化しかねない。

FRBにとって難しいのは景気見通しが回復に向かっている点だ。新型コロナウイルスのワクチン接種が進むとともに大型経済対策も実現に向け前進している。景気が急回復する中で、金利を抑え込めば、景気の過熱を招いたり、将来の緩和修正が一段と難しくなったりする副作用を伴う。

FOMC前の注目は4日に米メディアが開催するイベントでのパウエル議長の討議だ。これまでのように金利上昇を容認する姿勢をみせれば再び金利上昇が勢いづきかねない。

5日には雇用統計も控えており、結果次第で景気回復期待がさらに強まる可能性もある。今週に入り長期金利はやや落ち着きを取り戻しているが、金利上昇への警戒は解けていない。(ニューヨーク=後藤達也)

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン