1月の米雇用30万人減、オミクロン型感染増で 民間調査

【ワシントン=長沼亜紀】米民間雇用サービス会社ADPが2日発表した1月の全米雇用リポートによると、非農業部門の雇用者数(政府部門を除く)は30万1000人減った。雇用が減ったのは2020年12月以来1年1カ月ぶりで、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染拡大の影響が雇用に表れた。
20万人程度の増加を見込んだダウ・ジョーンズまとめの市場予測に反して減少した。前月は77万6000人増に下方修正された。

1月はほぼ全分野で雇用が減った。特にレジャー・ホスピタリティーが15万4000人減と落ち込みが大きかった。事業規模別では、小規模事業所が14万4000人減と大きく減少した。
ADPのエコノミストは「オミクロン型の影響は大きいが、一時的なものになる可能性が高い」との見方を示した。
労働省が4日発表する1月の雇用統計について、市場は非農業部門の雇用者数が15万人程度増えると予測している。ただし、対面サービスを提供する分野で営業休止が一時的に増えたことから、コロナ感染拡大の影響を大きく見積もって雇用減を予測するエコノミストもいる。
経済調査会社キャピタル・エコノミクスのエコノミストは、営業休止に加え、1月の感染拡大ピーク時には約500万人が自主隔離したと推定。隔離や家族の世話で欠勤した労働者の一部は就労者数に数えられないため、20万人程度の雇用者数の減少を見込んでいる。
バイデン政権のブライアン・ディース国家経済会議(NEC)委員長は1月28日、米メディアへのインタビューで、オミクロン型急増の影響で雇用データが変動する可能性を指摘した。4日の雇用統計発表を前に、予防線をはったとの見方も出ている。
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