米中間選挙開票始まる 上院接戦、下院は共和優勢
【ワシントン=坂口幸裕】米中間選挙は8日夜(日本時間9日午前)、開票が各州で順次始まった。連邦議会下院は野党・共和党が4年ぶりに多数派を奪還する公算が大きく、上院は激戦になっている。与党・民主党が議会で多数派を失えば、任期が残り2年あるバイデン大統領は厳しい政権運営を迫られる。
中間選挙は4年に1度ある大統領選の2年後に実施される。任期2年の下院435議席すべてと、任期6年の上院100議席のうちおよそ3分の1にあたる35議席が改選対象だ。現在は上下両院で民主が多数派を握る。全米50州のうち36州で知事選も実施した。
AP通信の出口調査によると、東部時間8日午後10時半(日本時間9日午後12時半)時点で、下院の当選確実は民主55、共和95になっている。現時点で過半数の218には届いていないものの、共和が優位に進めているもようだ。下院は現在、民主が220議席、共和が212議席を持つ。
上院の当選確実は民主が6、共和が12で、非改選議席を含めると民主が42議席、共和が41議席を確保した。米政治サイト、リアル・クリア・ポリティクス(RCP)の分析では、与野党が激しく競る東部ペンシルベニアや南部ジョージア、西部のアリゾナ、ネバダなど8州の勝敗が多数派の行方を左右する見通しだ。
現在の上院の構成は与野党が50対50で、上院議長を兼ねるハリス副大統領が1票を投じることができるためかろうじて多数派を維持している状況にある。
選挙結果は2021年1月に就任したバイデン氏への事実上の審判の位置づけになる。24年の次期大統領選への再出馬に意欲を示すバイデン氏が率いる民主が上下両院で多数派を失えば、党内で遠心力が働く可能性がある。バイデン氏は8日、自身のツイッターで「あなたの声を届けよう。投票しよう」と呼びかけた。
経済に対する有権者の関心が高く、40年ぶりの歴史的な高インフレのさなかの選挙戦はバイデン氏が率いる民主に逆風となった。7日時点の政党支持率は民主が45.5%、共和が48.0%。9月下旬に共和が民主を逆転して以降は差が次第に広がった。
AP通信が6~8日に実施した出口調査によると、投票した有権者に米国が直面する最も重要な問題を聞いたところ、経済・雇用が47%と最多。次いで人工妊娠中絶、移民、気候変動がそれぞれ9%だった。
民主が議会の多数派を失えば政権運営は「より難しくなる」(バイデン氏)。予算や政策にかかわる法案成立に共和の協力が欠かせなくなり、大統領選をにらむ与野党の対立が一段と激しくなると想定されるため政策が滞るリスクが高まる。
共和からはロシアが侵攻するウクライナへの支援縮小論が出た。物価高などで生活が厳しくなった米有権者から多額の予算が同国に向かう現状への不満がくすぶるためだ。中間選挙に多数の推薦候補を送ったトランプ前大統領が掲げる「米国第一」とも共振し、バイデン政権が議会から対ロシア政策の再考を迫られるおそれがある。
郵便投票を含む期日前投票の利用者が過去最高を更新する見通しだ。米調査会社ターゲットスマートの調べでは、集計した8日午後時点で4300万人を超え、前回18年選挙の同時期より8%増えた。郵便投票などの集計に時間がかかり、大勢判明までに時間を要する事態も想定される。
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