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安保理、ミャンマー情勢に「深い懸念」 即時釈放求める

(更新)
国連安全保障理事会は4日、ミャンマー情勢に「深い懸念」を示す報道声明を発表した(ニューヨークの国連本部)=ロイター

【ニューヨーク=白岩ひおな】国連安全保障理事会は4日、ミャンマー国軍によるクーデターを受けた報道声明を発表した。国軍が非常事態宣言を出し、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相やウィン・ミン大統領ら政府関係者を「恣意的に拘束」したことに「深い懸念を表明する」とした。拘束された人々の即時釈放を求めた。

国軍を直接非難する文言は盛り込まず、安保理として足並みをそろえられる範囲にとどめた形だ。グテレス国連事務総長は「比較的早期に1つの声明を発信できたことを歓迎する」と述べた。報道声明は国連安保理が報道機関向けに出す声明だ。国連加盟国に対し法的拘束力はないが、理事国15カ国の合意で出すことができる。

安保理は2日に開いた非公開の緊急会合で声明案への合意がまとまらず、協議を続けていた。クーデターへの対応ではミャンマーへの制裁の可能性も排除しない欧米諸国と、ミャンマーの友好国として慎重な立場を示す中国、内政不干渉を掲げて静観する東南アジア諸国などで温度差がある。協議を経て「ミャンマーの主権と政治的独立、領土の完全性、統一への強いコミットメントを再確認する」との文言が追加された。1日に議長声明を出した東南アジア諸国連合(ASEAN)への強い支持も表明した。

4日の報道声明ではミャンマーでの民主化改革を継続的に支援する必要性を強調した。クーデターという表現の使用は避けたものの「民主的な制度とプロセスを支持し、暴力を慎み、人権、基本的自由、法の支配を完全に尊重する必要がある」と指摘した。「(2020年11月の総選挙で示された)ミャンマー国民の意志と利益に沿った対話と和解の追求を奨励する」と訴えた。

市民社会やジャーナリスト、メディアで働く人々への制限に対する懸念にも言及した。最大都市ヤンゴンでは一時、携帯電話回線を通じた通話やデータ接続ができなくなるなど、クーデターをめぐる情報統制への懸念も出ている。国連の救援便の再開を含め、必要とする人々への安全かつ無制限の人道的アクセスも求めた。

ラカイン州のイスラム系少数民族ロヒンギャの迫害問題についても、クーデターを機に深刻化する懸念が出ている。拘束されたスー・チー氏は17年に起きたロヒンギャの迫害問題で「兵士の行き過ぎた武力行使があった可能性は否定しない」と国際社会に向けて発信し、国軍との緊張を高めた。声明では「ラカイン州の危機の根本原因に対処し、避難民の安全、自発的で持続可能な尊厳ある帰還に必要な条件を整える必要がある」と明言した。

国際社会からはより強硬な措置を求める声も上がっている。国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」のシャルボノ―理事長は2日の会合を前に「安保理はミャンマーの過去の人権侵害に対処せず、軍を野放しにした」と非難するコメントを発表。「責任を負う軍事指導者を対象に制裁を科すべきだ」と指摘した。

各国が独自の制裁措置に乗り出す動きが出てくる可能性もある。米国はミャンマー国軍による権力掌握を「クーデター」と正式に認定し、ミャンマー政府への援助を制限する見通しだ。バイデン米大統領は11年のミャンマーの民政移管後に段階的に緩和してきた経済制裁を再開する可能性を否定していない。

米英メディアは民主化への回帰へ圧力を加えるため、バイデン氏が大統領令による新たな制裁プログラムの発動やミャンマーへの援助の削減、軍高官を対象とする措置などを打ち出す可能性があると報じた。ミャンマーの軍高官は地元企業とのつながりが強い一方、海外での権益を多く保有していないとされる。そのため、個人への金融制裁よりもミャンマーの軍系企業に制裁を科す方が効果的だとの見方もある。

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