米国、ロシアに新START復帰要求 外相が侵攻後初の対面

【ワシントン=坂口幸裕】ブリンケン米国務長官とロシアのラブロフ外相は2日、訪問先のインドで10分ほど話した。2022年2月24日にロシアがウクライナを侵攻した後に対面で会うのは初めて。ブリンケン氏はロシアが決めた新戦略兵器削減条約(新START)の履行停止を撤回するよう要求した。
インドの首都ニューデリーで開催された20カ国・地域(G20)外相会合に合わせて会話をした。両外相が接触するのは22年7月に電話協議して以来。その時はブリンケン氏がロシアで拘束されている米国人の解放を求めた。
ブリンケン氏は2日の記者会見で、新STARTの履行停止を巡りラブロフ氏に「無責任な決定を撤回し、復帰するよう促した」と述べた。条約の順守が「両国の利益になり、世界中が期待していることだ。米国は戦略的軍備管理に関与し、行動する用意があると伝えた」と語った。
同氏はロシアによる侵攻が続く限りウクライナ支援を継続すると伝達。「米国は戦争終結のための外交を通じてウクライナを支援する用意がある」と話した。現在拘束中の米国人を解放すべきだと改めて迫った。「米国は真剣な提案をした。ロシアは受け入れるべきだ」と訴えた。
タス通信によると、両者は話をしたが、ロシア外務省のザハロワ情報局長は「会談などではない」と説明した。
ロシアと米国の新STARTを巡っては、ロシアのプーチン大統領が2月21日の年次教書演説で履行停止を表明し、同28日に停止を定めた法律に署名した。ロシア外務省は米国が長年にわたり条約に実質的に違反してきたと主張。米国が誠実に条約を順守する政治的意思を示すことで「停止するという決定は覆すことができる」と言及した。
新STARTは米ロ両国で唯一の核軍備管理条約。21年に5年間の延長で合意し、その間に新たな枠組みの条約を模索することになっていた。
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