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米軍、インド太平洋で拠点分散 中国のミサイルに対処

オースティン米国防長官は中国政策を立案するタスクフォースを立ち上げた=AP

【ワシントン=中村亮】米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官は1日の講演で、インド太平洋地域で米軍の拠点を一段と分散させていく方針を示した。部隊を少数の基地に集中させると中国による精密ミサイル攻撃の標的になりやすいからだ。米軍で中国の軍事力に懸念が強まっていることを示す。

デービッドソン氏は安全保障関連のイベントで講演した。インド太平洋での態勢に関し「分散された統合部隊の編成を目指す」と述べた。トランプ前政権下の2018年にまとまった国家防衛戦略は、米軍の分散を中国に対する戦略の中核に据えた。デービッドソン氏の発言はこうした基本方針をバイデン政権も引き継ぐことを示す。

米軍を沖縄やグアムなどの基地に集中させると中国のミサイル攻撃に脆弱になる。少数の拠点を攻撃して戦闘能力を一気に下げられるならば、中国が米軍に先制攻撃する動機にもなりかねない。

米軍は冷戦後は効率性を重視して基地を集約してきたが、戦略の転換を迫られている。米軍は中国が2000基以上の弾道ミサイルや巡航ミサイルを保有しているとみる。大半が中距離ミサイルとみられる。米国は19年に中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効するまで地上配備型の中距離ミサイルの開発・配備が禁じられていた。アジア・太平洋のミサイル能力は中国が優位との見方がある。

とくに分散を進めるのが海兵隊だ。海兵隊は「遠征前線基地作戦」と呼ばれる戦略を進めている。有事には多くの小規模の部隊が中国軍のミサイルの射程内である第一列島線付近にある離島や沿岸部に分散して基地を設営。対艦ミサイルや対空防衛、海洋の情報・監視・偵察などの拠点とする。海兵隊は小型揚陸艦の開発を進め、作戦の実現を目指す。

南太平洋のパラオは20年秋、米軍に新たな基地の設置を提案した。米国防総省当局者は「我々が注力するのは必ずしも新たな恒久的基地の設置ではなく、任務を遂行する拠点だ」と指摘する。部隊を恒常的に駐留させるのではなく、空軍などが状況に応じて利用する拠点を設けたい考えのようだ。

米戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・カンシアン上級顧問は戦略を成功させるために「米軍は中国と戦争状態にない国に上陸しなければいけない」と指摘する。米軍に基地や拠点の利用を認めた国は中国の攻撃対象になりうるため、有事には利用を拒否されるリスクがある。米国は同盟国などと中国の脅威に対する認識を日常的に擦り合わせる必要がある。

国防総省は1日、中国政策を立案するタスクフォースの初会合を開いた。6月中旬までに提言をまとめ、オースティン国防長官に提出する。タスクフォースでも分散戦略をどのように推進していくのかがテーマになりそうだ。

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