米、ウクライナに追加370億円 東部防衛強化で戦車供与

【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米政権はロシアが攻勢をかけるウクライナ東部の態勢を増強する。米国防総省は1日、最大3億ドル(370億円)の新たな軍事支援策を発表した。支援策はレーザー誘導ロケット砲や最新鋭ドローン「戦術無人航空機システム」のほか、軍用車両、医療用品など多岐にわたる。
2021年1月に発足したバイデン政権によるウクライナへの軍事支援は23億ドル超で、そのうちロシア侵攻後だけで16億ドル以上にのぼる。
同省のカービー報道官は1日の声明で「ウクライナの主権と領土の一体性を守る米国の揺るぎない関与を明確にするものだ」と強調した。バイデン米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が3月30日に電話した際も武器支援の強化が議題になった。
従来よりも攻撃的な兵器の供与方針も明らかになった。1日の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、バイデン政権は同盟国とウクライナ軍が現在も使っている旧ソ連製の戦車を同盟国を経由して間接譲渡する案を検討している。
同紙によると、米国がロシア侵攻に伴うウクライナへの武器支援で戦車を譲り渡すのは初めてになる。ウクライナのゼレンスキー氏が供与を求めていた。米政府高官の話として「ロシアの標的に長距離砲撃が可能になる」と伝えた。
米政府はこれまで対戦車ミサイル「ジャベリン」や地対空ミサイル「スティンガー」など比較的小型で持ち運びやすい武器を提供していた。ロシアの攻撃が激しくなる事態を想定してウクライナの防衛態勢を拡充するとみられる。
ロシア国防省は3月29日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)などでの軍事活動を縮小すると発表した。東部ドンバスなどでの作戦に集中する方針を示した。ロシア軍は2月24日の侵攻から短期間でのキーウ陥落を狙ったが、ウクライナ軍の激しい抵抗などで「失敗した」(カービー氏)もようだ。
米国防総省によると、キーウに迫っていたロシア軍は再配置を始めており、ドンバスでの戦闘に加わるとの見方が多い。バイデン大統領は3月31日、ロシアが「ドンバス地域の軍部隊を強化している証拠がある」と明言した。

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