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「ロシア即時撤退を」国連決議141カ国賛成、5カ国反対

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【ニューヨーク=白岩ひおな、吉田圭織】国連総会は2日の緊急特別会合で、ロシアによるウクライナ侵攻に「最も強い言葉で遺憾の意を表す」とする決議を日本や米国など141カ国の賛成多数で採択した。ロシアに対し「軍の即時かつ無条件の撤退」を求めたうえで、ウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立承認の撤回も要請した。ロシアやベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリアの5カ国が反対し、中国やインドなど35カ国は棄権した。

決議は日米など96カ国が共同提案した。緊急特別会合は2月25日の安全保障理事会でロシアが非難決議案に拒否権を発動したことを受けて招集されたもので、安保理の要請による招集は1982年以来40年ぶり。総会決議に法的拘束力はないが、多数の国が結束してロシアの孤立を印象づける狙いがある。

棄権は中印のほか、イランやキューバ、カザフスタンなどロシアと関係が深い国や、ロシアが軍事支援を進めるアフリカ諸国などが並んだ。

賛成した141カ国は、14年にロシアによるクリミア半島への侵攻をめぐり、国連総会で「ロシアによる併合は無効」とする決議が採択された際の100カ国から大幅に増えた。安保理では棄権したアラブ首長国連邦(UAE)も、総会決議では賛成に回った。UAEは3月の安保理議長国を務めている。

反対も当時の11カ国から5カ国に減り、棄権も58カ国から35カ国に減少した。侵攻が長期化し、ロシアの攻撃による民間人の被害拡大や核態勢の強化指示などに非難の声が高まるなか、国際社会の対ロ包囲網が強まっていることを示した。

国連のグテレス事務総長は決議採択後に記者団に対し「国連総会のメッセージは明確だ。ウクライナに対する敵対行為を停止せよ。銃声を静めよ。対話と外交の扉を開け」と訴えた。ウクライナのキスリツァ大使は「国連を信じる理由がウクライナの人々にできた。決議の結果はロシアに対する強いメッセージだ」と強調した。

米国のトーマスグリーンフィールド大使は「日に日にウクライナの状況が深刻となるなかで、機運を維持しなければならない」と強調し、「ロシアは孤立し、独りぼっちだ」と述べた。

決議は「ロシアが核戦力の準備態勢を強化する決定を非難する」とも明記した。

一方、ロシアのネベンジャ大使は採決前の2度目の演説で「軍事行動の停止にはつながらず、反対に(ウクライナの)過激派の立場を強めることになる」などと主張し、決議案を支持しないよう働きかけた。

決議は「ベラルーシがウクライナへの不法な武力行使に関与していることを慨嘆し、国際的義務を順守するよう要求する」と明記した。ベラルーシのルイバコフ大使は2日の採決直前の演説で「確かに関与はしているが、ベラルーシはロシアとウクライナの直接対話を確実にするために努力を惜しんでいない」と反論した。

中国は安保理決議案の採決時と同様、棄権を選択した。張軍大使は採択後の演説で「決議案は現在の危機と歴史の複雑さを反映しておらず、政治的解決の推進や外交努力の強化の緊急性も強調されていない」と棄権の理由を説明した。「関係者が対話と協議を通じてウクライナ問題の包括的な解決策を模索すべきだ」と語った上で「中国は引き続き建設的な役割を果たす用意がある」との考えを明らかにした。

ロシアとの外交・経済関係に配慮する一方で、米欧日などによる制裁強化でロシアの孤立が深まるなか、中国も発言の軌道修正を迫られている。2月28日の演説では「状況はわれわれが望まないところまで発展している」と危機感をにじませた。「一国の安全保障が他国の安全保障を犠牲に成り立ってはならない」とも強調した。

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