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ブラジル景気後退 干ばつ響く ボルソナロ氏再選に逆風

(更新)

【サンパウロ=宮本英威】ブラジル地理統計院(IBGE)が2日発表した2021年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は前四半期比で0.1%減となった。4~6月期(0.4%減)に続いて2四半期連続のマイナス成長となり、定義上の景気後退となった。干ばつによる農産物の不振が響いた。22年10月の大統領選挙で再選を目指す現職のボルソナロ大統領には逆風になりそうだ。

ブラジルの景気後退は、新型コロナウイルスの感染が広がった20年1~3月期、4~6月期に2四半期連続でマイナス成長となって以来となる。分野別では、新型コロナの感染者数の減少による経済活動の再開に伴ってサービス業は前四半期比で1.1%増となったものの、農牧畜業が8%減と大幅に落ち込んで全体を引き下げた。GDPは前年同期比では4%増だった。3四半期連続のプラスだった。

要因の一つは農産物の生産低迷だ。ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、2020年10月~21年9月の穀物生産量の推定は約2億5200万トンと、前の年度比2%減となった。約90年ぶりとされる歴史的な降雨の少なさで、主力のトウモロコシや豆類といった穀物の生産が低調に推移した。

この結果、インフレも引き起こした。10月の消費者物価上昇率は年率で10.67%となった。5年9カ月ぶりの高い上昇率だ。トマトやジャガイモといった農作物だけでなく、通貨安による輸入品、原油高騰を受けたガソリンの販売価格が上昇している。

「鶏肉や食用油などの値上がりで家計は厳しい」。最大都市サンパウロに住む50歳代の女性美容師は嘆く。店舗を訪れる顧客は新型コロナの感染が広がる前まで「十分には戻っていない」。収入減とインフレのダブルパンチに直面している市民は多く、生活の水準を引き下げるケースも目立つ。

実質経済成長率見通しの下方修正も相次いでいる。中銀が民間エコノミストの予測を集計して毎週公表する「FOCUS」では、21年通年は4.78%増と、7週連続で引き下げられた。22年については8週連続の下方修正で、0.58%増まで落ち込んでいる。

中銀はインフレ抑制を優先しており、これまで6会合連続で政策金利の引き上げに動いてきた。今月7~8日に開く会合でも利上げが確実視されている。今後は、景気停滞とインフレが共存する「スタグフレーション」への懸念が一段と増してくる可能性もある。

コンサルティング会社のアトラスが11月30日に公表した世論調査では、次期大統領選に向けて、右派のボルソナロ大統領の支持率は31.5%と、左派のルラ元大統領(42.8%)に差をつけられている。経済回復が遅れるようだと、選挙戦はボルソナロ氏にとって一段と厳しくなる可能性がある。

ブラジルは新型コロナの累計感染者数が世界で3番目に多い。今年6月には1日の新規感染者が11万人超まで増えていたが、足元では1万人前後まで下がった。必要なワクチン接種を終えた比率は人口の6割を超えたが、経済全体は思うようには浮上していない。11月30日には、拡散の勢いはデルタ型を超えるとの懸念がある、新たな変異型「オミクロン型」も確認されている。

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