米エクソン、ロシア石油事業「サハリン1」撤退
【ヒューストン=花房良祐】米石油大手エクソンモービルは1日、極東ロシアの資源開発事業「サハリン1」から撤退すると発表した。同「サハリン2」からは英石油大手シェルも撤退を表明済み。ウクライナ侵攻でロシアへの批判が高まるなか、同国での資源事業から手を引く動きが広がっている。
具体的な撤退時期には言及しておらず「操業を徐々に停止して合弁から撤退する手続きを取り始めた」という。主に原油を生産するサハリン1にはエクソンが30%を出資。ほかにサハリン石油ガス開発(東京・港)が30%、ロシアの石油大手ロスネフチとインドの石油天然ガス公社(ONGC)が20%ずつ出資している。サハリン石油ガス開発には経済産業省、伊藤忠商事、石油資源開発、丸紅、INPEXが出資している。

エクソンはサハリン1の操業主体(オペレーター)を務め、プラントの運転で中心的な役割を果たしてきたが1日「自由を守ろうとするウクライナの人々を支持する。ウクライナの主権を侵害するロシアの軍事行動を批判する」などとする声明文を公表した。ロシアで新規案件の投資もしないと表明した。
エクソンはロシアの経済制裁を巡りエネルギー産業を除外するよう米国政府にロビー活動してきたと報じられている。ただ主権侵害と市民の被害の拡大を受け、撤退を決めたもようだ。
エクソンの動きは日本にも影響しそうだ。サハリン石油ガス開発には経済産業省が50%出資するほか石油資源開発やINPEXも政府に近く、日本とロシアのエネルギー協力の象徴的な事業とされてきた。サハリン1では液化天然ガス(LNG)プラントを建設する計画もある。
同じサハリン島にはロシアのエネルギー大手ガスプロムなどが手掛ける石油ガス開発事業のサハリン2があり、事業に参画する唯一の欧米メジャーの英シェルが撤退を表明したばかり。サハリン2には三井物産と三菱商事が出資し、日本の電力・ガス会社にLNGを販売してきた。
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