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米経済「供給制約が成長の足かせ」 地区連銀報告

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【ワシントン=長沼亜紀】米連邦準備理事会(FRB)は1日発表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、10月から11月上旬にかけて米経済は「大半の地区で緩やかに拡大した」と総括した。その上で「強い需要にもかかわらず、供給網の混乱や労働力不足が成長の足かせ」となっており、これらに起因する物価上昇も「さまざまな分野で広範囲に及んでいる」と報告した。

同報告によると、経済拡大ペースに関する表現は前回とほぼ変わっておらず、同様の景気判断を維持した。一方、物価は「緩やか、もしくは強いペースで上昇している」と指摘した。仕入れ価格が幅広く値上がりした。クリーブランド連銀地区では、聞き取り先企業の8割が直近2カ月の仕入れコスト上昇を報告し、ある物流業者は「ガソリン、電力、食品、原材料、製品すべてが値上がりしている」と伝えた。需要が強いため、企業は顧客の抵抗をほとんど受けずに販売価格を引き上げているという。

雇用増は緩やかだったが、強さが増した地区もあった。企業の労働需要は旺盛で、新規採用や従業員の維持の難しい状況が続いた。ニューヨーク連銀地区の企業は、従業員の多くが同業他社への転職や、新分野での職探しで離職していくと苦境を伝えた。レジャー・ホスピタリティー産業と製造業で雇用は改善した半面、依然として多くが人手不足で営業・稼働時間を制限していた。ボストン連銀地区の製造業者は「注文に対応できるだけの人手が集められれば、金融危機前のピークの売り上げに戻れるのだが」と嘆いた。

労働供給が増えない要因として、保育や退職、新型コロナウイルスの感染リスクをあげた。雇用市場の逼迫で、ほぼ全地区が「強い賃金上昇」を報告した。セントルイス連銀地区では、ピザ店が時給15~20ドル(約1700~2300円)の宅配スタッフの求人広告を出したり、輸送会社が夜間スタッフの時給を13ドルから21ドルに引き上げたりする例があった。

消費支出は緩やかに増えたものの、品不足で販売が抑制された品目もあった。新型コロナのデルタ型の新規感染者減少を受けて、レジャー・ホスピタリティー産業の活動は上向いた。製造業は材料・労働力不足の制約にもかかわらず堅調な拡大が続いた。今後の見通しについて、大半の地区で企業は明るさを維持した。供給網と労働供給の課題が解消する時期に懸念を示す声も聞かれた。

同報告は11月19日までの情報に基づき、全米の12地区連銀の経済動向をまとめた。14~15日に開く次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の検討資料になる。

FRBのパウエル議長は11月30日~12月1日の議会証言で、「物価上昇のリスクは高まっている」と高インフレに警戒を示し、次回FOMCで量的緩和縮小のペースを速める議論をすると表明した。

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