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6月の米製造業景況感、2年ぶり低さ 不況懸念高まる

(更新)

【ニューヨーク=宮本岳則】米金融市場で景気後退懸念が高まっている。米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した6月の米製造業景況感指数は53.0と、前月から3.1ポイント低下した。2020年6月以来2年ぶりの低水準で、調査会社ファクトセットまとめの市場予想(55.0)を下回った。新規受注が低調で指数を押し下げた。弱い経済指標が相次ぎ、長期金利は一時、1カ月ぶりの低水準まで下げた。

ISM指数は月間の米主要指標で最も早く公表され、景気の先行指標として注目度が高い。50を拡大・縮小の分岐点として、50を上回ると拡大、下回ると縮小を示す。「新規受注」「生産」「雇用」「入荷遅延」「在庫」の5つの指数をもとに景況感の総合指数を算出する。今回注目を集めたのは新規受注指数だ。前月比5.9ポイント減の49.2に低下し、20年5月以来の50割れとなった。

米国野村証券のエコノミスト、雨宮愛知氏は「生産活動の先行きを示す新規受注指数が50割れとなり、景気後退懸念は一層強まった」と述べた。同社は22年10~12月期に米経済が景気後退入りすると予想しているが、7~9月期から始まる可能性が出てきたと指摘している。米シティグループは1日のメモで「需要が緩やかになっているか、安定してきたことを示唆している」と指摘した。

ここにきて景気の減速を示す指標が相次ぐ。6月末公表の5月の個人消費支出(PCE)では消費の伸び鈍化が明らかになった。同中旬発表の5月の住宅着工件数は前月の改定値から14.4%減った。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが、徐々に実体経済を冷え込ませている。

金融市場の関心は景気後退入りのタイミングや深さに移り始めている。

米アトランタ連銀が月次統計をもとに米実質国内総生産(GDP)を算出する「GDPナウ」は7月1日、4~6月期の経済成長率を前期比年率2.1%減と、6月30日時点の1.0%減からさらに引き下げた。低調なISM指数に加え、同日に発表になった5月の米建設支出が市場予想に反して減少し、GDP予測の下方修正につながったようだ。

1~3月期の米実質GDPの成長率は1.6%減だった。2四半期連続のマイナス成長となれば「テクニカルリセッション」(景気後退)とみなされる。もっとも市場参加者の間では4~6月期の不況入りを予想する声は少ない。英キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ハンター氏は「ISM指数は景気後退が差し迫っていることを示唆していない」と述べ、年率1%台の成長を見込む。

実際に景気後退の始まりと終わりを判断する全米経済研究所(NBER)は、実質所得や鉱工業生産など広範囲の月次指標を分析し、持続的低下の有無をみる。すぐに「不況入り宣言」が出る可能性は低いとみられているが、「GDPナウ」はその時期が着実に近づいていることを示している。

金融市場では景気後退リスクの織り込みが進んでいるようだ。長期金利の指標となる米10年債利回りが一時、前日比0.22%低い(債券価格は高い)2.79%と1カ月ぶりの水準に低下した。一方、米株式市場では、長期金利が下がると買われやすい高PER(株価収益率)のハイテク株にマネーが流入した。

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