米株続伸、過度な引き締め懸念後退 ナスダックは2%高

【ニューヨーク=斉藤雄太】1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸した。同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が市場の想定よりも金融引き締めに積極的な「タカ派」姿勢をみせなかったとの受け止めが広がった。金利低下がハイテク株の買いを誘い、ナスダック総合株価指数は2%高になった。
ダウ平均の終値は前日比6ドル高の3万4092ドルだった。IT(情報技術)大手のインテルやマイクロソフトの株価上昇が目立った。米長期金利の指標になる10年物国債利回りは、前日の3.5%台から一時3.3%台後半まで低下(価格は上昇)した。米金利低下でドルは売られ、対ドルの円相場は一時1ドル=128円台後半まで円高・ドル安が進んだ。
1日のFOMCでは0.25%の利上げを決めた。市場の予想通り、引き上げ幅は2022年11月の0.75%、同12月の0.5%から2会合続けて縮小した。FOMC後の声明文やパウエル議長の記者会見では、この先さらに複数回の利上げに動く可能性を示し、ダウ平均は一時500ドル超下げた。

一方、インフレの鈍化期待からここ数カ月で米株高や金利低下が進んだ点について、パウエル議長は「我々は短期的な動きではなく、より広範な金融情勢の持続的な変化をみている」と指摘。「金融情勢はこの1年間で大きく引き締まった」とも語った。市場では、パウエル議長が足元の株高など金融環境の緩みを強くけん制しなかったとの見方が広がり、投資家はリスクを取る姿勢に傾いた。
パウエル議長は「(物価の伸びが鈍化する)ディスインフレのプロセスが始まった」とも明言した。昨年12月のFOMCで示した経済・物価見通しに沿った動きになれば「年内の利下げは適切ではない」とする一方、市場が期待するより早いインフレ鎮静化が進めば、政策運営でそれを考慮する考えも示した。市場の利下げ期待を強く押し戻さなかったことも株買いにつながった。
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