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米ロス、生徒50万人を毎週コロナ検査 学校での感染防止

(更新)
ロサンゼルスの公立校は生徒らを対象に週50万回の検査を実施する(8月12日)=ロイター

【シリコンバレー=白石武志】全米最大級の米ロサンゼルスの公立校学区がすべての生徒・教職員を対象に新型コロナウイルスの定期検査を始めた。50万人超を毎週検査するのは米国でも例がない。感染力の高いインド型(デルタ型)対策の模範になりうる、とみる専門家もいる。

ロサンゼルス郊外のハリウッドにある公立小学校で8月下旬、新学期開始から8日目で初の集団感染が確認された。特定のクラスで複数の陽性者が出たが、クラス全員を即座に帰宅させて感染の広がりを抑えた。

早期発見を可能にしたのが、幼稚園から高校まで約1000校を抱えるロサンゼルス統一学区が8月の新学期開始にあわせて導入した週1回の定期検査。各校に週1回の頻度で医療従事者らを派遣し、ワクチンを接種済みかどうかにかかわらず全ての生徒と教職員をPCR検査している。

同学区は州内の検査機関と契約しており、約1000人の医療従事者が検査に携わる。各校から集めた検体は1日に2回の航空便で州北部の施設に送られ、24~36時間で結果が判明する。関連予算として総額3億5000万ドル(約380億円)を計上した。慢性的な資金不足に悩む同学区にとって安い金額ではない。

それでも定期検査をするのは、ワクチン接種率の低い若者が集まる学校が新型コロナの感染源となるリスクが指摘されるためだ。米国では12歳以上へのワクチン接種が認められているが、ロサンゼルス郡のデータによると12歳から17歳までのワクチン接種率は6割前後にとどまる。

課外のスポーツ活動による感染拡大を抑えるため、ロサンゼルス郡の保健当局は9月から郡内の青少年スポーツ団体に交流試合前に参加者全員の検査を実施することも義務付けた。試合前72時間以内に検査を受け、試合開始までに陰性の結果を得られなければ出場を認めないという内容だ。

ロサンゼルスの取り組みは厳しくみえるものの、米疾病対策センター(CDC)の指針に沿うものだ。カリフォルニア州のサーモンド教育長は新学期の開始にあわせて同学区の公立高を訪れ、デルタ型が猛威を振るう中でも「学校を安全かつオープンに保つことができる」と太鼓判を押した。

課題もある。検査を拒んだ生徒はオンラインの遠隔授業しか受けられない。地域内の多くの貧困世帯には高速インターネット接続サービスが行き渡っておらず、デジタルデバイド(情報格差)を広げる懸念もある。

ロサンゼルスの教育当局は学校単位の検査結果しか開示せず、学区全体のデータを集計していないことも一部の保護者らの不安心理を高める。保護者団体が開示データを基に独自の集計作業を始めたことで、ようやく陽性者数などのデータを閲覧できるようになった。

9月上旬には多くの州で連邦政府による失業給付の特例加算措置が終了する。子どもを安心して学校に通わせることで、保護者らが仕事に復帰しやすくなる効果も期待されている。定期検査は多額の費用がかかるものの、感染抑制や経済正常化を後押しする効果が確認されれば、他の地域にも同様の取り組みが広がる可能性がある。

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