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「子供より成長優先」 米公聴会、インスタグラムを批判

(更新)

【シリコンバレー=奥平和行】米国で米フェイスブックが運営する画像共有アプリ「インスタグラム」への批判が強まっている。開発を進めてきた児童向けサービスに対する懸念に加え、自社に不都合な調査結果を隠しているとの疑惑も浮上した。30日には米議会の公聴会で幹部が厳しい批判を浴び、収束の兆しは乏しい。

「フェイスブックは何度にもわたって利益を優先し、子供の心身の健康よりも成長を重視している」。米議会上院の商業科学運輸委員会は30日に公聴会を開き、消費者保護を担当する小委員会のリチャード・ブルーメンソル委員長がフェイスブックを厳しく批判した。

きっかけは今春、フェイスブックが13歳未満の児童を対象としたインスタグラムを開発しているとの観測が浮上したことだ。長時間の利用による心身への悪影響などを懸念する声が高まり、さらに米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが9月半ばからフェイスブックの社内調査の結果を入手して報じたことで批判が強まっていた。

ティーンエイジの女子の3人に1人がインスタグラムを利用することで自分の体形が劣っていると感じている――。同紙はこんな社内調査の結果をもとにフェイスブックの企業姿勢を批判した。30日の公聴会でも複数の議員がこの問題を取り上げ、摂食障害や自殺の増加との関連を指摘する声も相次いだ。

フェイスブックは29日に社内調査の結果の一部を、注釈を付けて公開した。ビデオ会議システムを通じて公聴会に出席した同社の安全問題責任者、アンティゴニー・デービス氏は公表した結果に言及し、「調査した12の項目のうち(体形以外の)11では肯定的な反応が得られている」などと反論した。

ただ、議員は同社が資料の一部だけを公表したことに対して「いいとこどりだ」(米共和党の有力議員、テッド・クルーズ氏)などと批判を強めた。重ねて全面公開を要求したが、デービス氏はプライバシー保護などを理由に否定的な見解を示している。

フェイスブックが開発を進めてきた13歳未満の児童を対象としたインスタグラムへの批判も相次いだ。同社は既に利用規約を守らずにインスタグラムを使っている13歳未満の児童がいることなどを理由に、保護者が管理できるより安全なサービスが必要と主張してきた。

一方、社会的な批判や懸念が強まっていることを理由に、同社は9月27日に開発を一時中断すると発表している。出席した議員の多くは全面中止を求め、「フェイスブックは子供向けの安全なサービスを開発した実績が乏しく、一時中断では不十分だ」(エドワード・マーキー議員)などの意見が出た。

米議会ではかねてフェイスブックへの不満が根強かった。ただ、民主党の議員は偽ニュースやヘイトスピーチへの対策が不十分なことを責める一方、共和党側は保守派の言論を制限していることなどを問題視している。同社をやり玉に挙げることでは一致するものの、議論がかみ合わないことが多かったのが実態だ。

こうしたなか「児童保護」は両党が合意を見いだしやすい数少ない論点といえる。公聴会でもブルーメンソル委員長は「超党派で」と繰り返した。言論の自由と安全・安心のバランスを確保することにてこずり足踏みを続けるなか、フェイスブックは規制議論の前進に向けた格好の材料を提供する形になっている。

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