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米国の中小銀行、預金流出一服 MMFは3週連続流入

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【ニューヨーク=大島有美子】米連邦準備理事会(FRB)が3月31日に発表した米国の商業銀行のバランスシートに関する統計によると、22日時点の中小銀行の預金残高は前の週から58億ドル(7700億円、0.1%)増加し、5兆3860億ドルとなった。シリコンバレーバンク(SVB)の破綻をきっかけに過去最大の預金流出を記録した15日から1週たち、ひとまず落ち着きを取り戻した。

FRBは総資産上位25行を大手銀行、それ以外の地銀などを中小銀行として、週次で銀行のバランスシートの状況を集計している。同統計は遡及改訂している。31日の改訂では、急激な預金流出に見舞われて破綻したSVBなど米連邦預金保険公社(FDIC)の管理下に入った銀行を中小銀行の分類に算入した。

その結果、中小銀行の9〜15日の預金流出額は前の週比で1960億ドル(3.5%減)となった。前週時点では1200億ドル(2.2%減)の流出としていた。安心感を求めた顧客の受け皿となった大手銀行の預金は同670億ドル増えた。

一方、大手銀行や米国外の銀行も含めた全体でみると、16〜22日の週の預金残高は前の週比で0.7%減少した。減少は9週連続となる。銀行全体から預金が減っているのは、より利回りの高い金融商品に資金がシフトしているためだ。その代表格がMMF(マネー・マーケット・ファンド)だ。

MMFは政府短期証券などで運用する投資信託の一種で、金利上昇が利回りに反映されやすい。FRBによる急ピッチの利上げで、MMFの利回りは2月に4%台後半に乗せた。ゼロ%台の預金金利との金利差拡大で魅力が高まったところへ預金不安が重なり、資金流入が続く。

米投資信託協会(ICI)によると、MMF残高は29日時点で5兆1980億ドルと、3週連続で増えた。直近3週間では3000億ドル以上(約6%)増え、新型コロナウイルス禍の2020年春以来の急増ぶりをみせている。

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シリコンバレー銀行破綻

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