NYダウ反落44ドル安、量的緩和の長期化は支え

【NQNニューヨーク=岩本貴子】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反落し、前日比44ドル77セント(0.1%)安の3万0154ドル54セントで終えた。11月の米小売売上高が市場予想を下回り、短期的な米景気の下振れリスクが懸念された。米政府の追加経済対策への期待や、米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和の長期化観測は支えとなり、午後には小幅高に転じる場面もあった。
朝方は売りが先行した。寄り付き前に発表された11月の米小売売上高は前月比1.1%減と市場予想(0.3%減)以上に減った。新型コロナウイルスの感染が拡大し「年末商戦は想定より悪い」(オックスフォード・エコノミクス)と受け止められた。
もっとも、下値は堅かった。CNBCは「米与野党は9000億ドル規模の追加経済対策で合意に近づいている」と伝えた。15日に協議した与野党のトップが合意に楽観的な姿勢を示したとも伝わっており、近く成立するとの見方につながった。
FRBによる量的緩和が長引くとの見方も買いを誘った。16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、国債などの資産購入の継続について「雇用の最大化と物価の安定という委員会の目標に向けて、かなりの進展があるまで」と文言を追加した。量的緩和の長期化を示唆した形だ。
パウエル議長は会合後の記者会見で「米景気回復が鈍れば、資産購入を増やす可能性もある」「金利の低さを考えれば株は買われすぎではない」と述べた。発言が好感され、ダウ平均は小幅高に転じる場面もあった。
航空機のボーイングや機械のハネウェル・インターナショナルなど景気敏感株が下げた。飲料のコカ・コーラや通信のベライゾン・コミュニケーションズなどディフェンシブ株の売りも目立った。一方、ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理(CRM)のセールスフォース・ドットコムは高い。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸した。前日比63.128ポイント(0.5%)高の1万2658.188で終え、連日で過去最高値を更新した。高PER(株価収益率)株が多いハイテク株は金利低下の恩恵を受けやすいうえ、景気悪化が業績の逆風になりにくく、買い安心感が広がった。インターネット通販のアマゾン・ドット・コムや決済サービスのペイパル・ホールディングスが買われた。
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