NYダウ続落129ドル安 パウエル議長会見中に下落

【NQNニューヨーク=戸部実華】26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続落し、前日比129ドル64セント(0.4%)安の3万4168ドル09セントで終えた。前日夕に発表した決算が好感されたソフトウエアのマイクロソフトが買われ、ダウ平均は午前に500ドル強上げる場面があった。だが、午後に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が発表され、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見が始まると長期金利が上昇し、ダウ平均は急速に伸び悩んで下げに転じた。
FOMCの声明では「2%を優に超える物価と力強い労働市場を踏まえ、委員会は政策金利の誘導目標の引き上げがまもなく適切になると予想する」と次回3月の会合での利上げ開始を示唆した。併せて「バランスシートの規模縮小に関する方針」を公表し、利上げ開始後に資産圧縮を実施する方針を示した。
14時半にパウエル議長の記者会見が始まると売りが優勢になり、ダウ平均は下げに転じた。議長は労働需給の逼迫は「これまで見たことがないレベル」と強調。賃金インフレを警戒し「労働市場を損ねることなく利上げは可能」と指摘した。資産圧縮についても「次回とその次の会合で議論し、適切な時期に決断する」と述べ、早期実施に含みを持たせた。
市場では「タカ派色が強い内容だった」(インガルズ・アンド・スナイダーのティム・グリスキー氏)との声が聞かれた。会見中に長期金利が1.85%(25日終値は1.77%)まで上昇し、高PER(株価収益率)銘柄の重荷となった。
個別では航空機のボーイングが5%安となった。26日発表の2021年10~12月期決算で1株損益の赤字幅が市場予想より大きかった。通信のベライゾン・コミュニケーションズやドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスなどディフェンシブ株の下げも目立った。買いが先行したハイテク株も長期金利の上昇を受け売りが優勢になり、顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが2%安、スマートフォンのアップルは横ばい圏で終えた。
一方、マイクロソフトは3%高で終えた。25日発表の21年10~12月期決算で売上高と1株利益が市場予想を上回り、22年1~3月期の売上高予想も市場予想以上だった。
投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前日と比べて高い31台後半で終えた。不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回っている。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小反発し、前日比2.824ポイント(0.02%)高の1万3542.119で終えた。26日の取引終了後に決算発表を控えていた電気自動車のテスラが2%高となった。検索サイトのアルファベットや半導体のエヌビディアも高い。
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