マレーシア、1兆円の追加経済対策発表

【シンガポール=中野貴司】マレーシアのムヒディン首相は31日、総額400億リンギ(約1兆600億円)の追加経済対策を発表した。1日から実施するロックダウン(都市封鎖)の悪影響を軽減する目的で、低所得層への現金給付などが柱となる。
400億リンギのうち、50億リンギが直接の財政投入を伴う「真水」となる。企業が従業員に支払う給与の一部を1カ月間補助して、失業者が増えるのを防ぐほか、低所得者には300~500リンギを給付して家計を支援する。集中治療室(ICU)の増設など医療体制の拡充にも10億リンギを配分する。
マレーシア政府は新型コロナが発生した2020年以降、これまで計3400億リンギの経済対策を実施してきた。ムヒディン氏は31日の演説で、財政余力には限界があると指摘しつつ、「政府は国民の生命と生活を守ることに全力を注ぐ」と強調した。財政負担を少しでも減らす意志を示すため、閣僚は6月から3カ月間、無給とする。
マレーシアでは新型コロナの感染者数の増加が止まらず、1日から14日まで全土でロックダウンの導入に追い込まれた。ロックダウン期間中は日常生活に不可欠な業種や一部の製造業以外の操業を禁止し、社会活動も大幅に制限する。