ミャンマー国軍、非常事態宣言6カ月延長 総選挙先送り

【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー国軍は1日放送の国営テレビで、全権を掌握した2021年2月のクーデター時に発令した「非常事態宣言」を6カ月延長すると発表した。全土で民主派勢力の武装抵抗が続き、宣言の解除から6カ月以内と憲法で定められている総選挙を実施できないと判断したとみられる。国軍が準備を進めてきた総選挙は先送りされる。
非常事態宣言の最終日の1月31日、政府と国軍の幹部らは首都ネピドーで「国防治安評議会」を開き、非常事態宣言の延長を決めた。
国軍は21年2月1日未明、民主化指導者のアウンサンスーチー国家顧問兼外相やウィンミン大統領ら国民民主連盟(NLD)政権の幹部を相次ぎ拘束。国軍出身のミンスエ副大統領が「大統領代行」として非常事態宣言を出し、ミンアウンフライン氏に全権を移した。
憲法で非常事態宣言は当初1年間で、半年間ごとに原則2回まで延長できるとされており、国軍は既に2回延長していた。国営テレビによると、憲法裁判所は今回の6カ月延長について「合憲」と判断したという。
反国軍の抵抗組織は国軍部隊にゲリラ攻撃を仕掛けている。このため農村や山間部の一部地域には国軍の支配が及んでおらず、国軍主導の総選挙の実施は困難だとの見方があった。
国軍トップのミンアウンフライン国軍総司令官は総選挙を実施し、国軍系の連邦団結発展党(USDP)主導の新政権を樹立することを目指してきたが、国民が軍に不信感を抱くなかで総選挙を強行すれば「さらなる暴力を招く」(ブリンケン米国務長官)との指摘があった。
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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデターを巡る最新ニュースはこちら。