G20環境相会合、共同声明採択できず ロシアめぐり対立
【ジャカルタ=地曳航也】20カ国・地域(G20)は31日、インドネシアのバリ島で環境・気候相会合を開き、気候変動や海洋プラスチックごみの問題などについて協議した。ロシアのウクライナ侵攻をめぐる各国の立場の隔たりが大きく、共同声明の採択を見送った。

議長国のインドネシアのシティ・ヌルバヤ環境・林業相は閉幕後の記者会見で、共同声明の代わりに議長総括をまとめる方針を発表した。公表は9月1日以降になる見通し。G20は7月の財務相・中央銀行総裁会議でもウクライナ問題で対立し、共同声明を採択できなかった。
日本政府関係者によると、温暖化ガスの削減に向けた地方自治体の取り組みの重要性に関しては各国が一致した。12月の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で生物の保全や利用に関する野心的な目標の合意をめざして努力することでも合意。議長総括に反映されるとみられる。
シティ氏はロシアのウクライナ侵攻をめぐる各国の対立を念頭に、開幕の演説で「壁でなく橋をつくろう」と結束を呼びかけていた。前G20議長国として冒頭に発言したイタリアはロシア批判を展開。西村明宏環境相も最大限の非難を表明した。

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