米最新鋭ステルス戦闘機「F35B」を韓国に初展開

【ソウル=甲原潤之介】米韓軍は31日、戦闘機など240機あまりによる大規模な軍事訓練を始めた。韓国国防省は同日、米韓の国防相が11月3日に米国防総省で会談すると発表した。同盟を強化し、核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮の抑止をめざす。
訓練は「ビジラント・ストーム」と名付け、11月4日まで開催する。米軍は岩国基地(山口県)に配備される最新鋭ステルス戦闘機「F35B」を参加させる。短い滑走で飛び、垂直に着地できるため、離島の短い滑走路や海上の空母からも出撃できる特徴を持つ。
韓国空軍によるとF35Bを韓国内の基地に展開させるのは初めて。韓国軍が持つステルス機「F35A」との連携を確かめる。互いが持つ最新鋭の機種を組み合わせて動かし、北朝鮮のミサイル攻撃などに対する防衛力を高める。
米軍は電磁波で相手の通信やレーダーに損害を与える電子戦機や偵察機も投入する。空中給油の訓練でオーストラリア空軍も参加する。米太平洋空軍は戦略爆撃機「B1B」を米領グアムに10月中旬に展開したと公表し、北朝鮮の動向ににらみをきかせている。
訓練の期間中にあたる3日には韓国の李鐘燮(イ・ジョンソプ)国防相が訪米し、オースティン米国防長官と会談する。韓国が核攻撃を受ければ米国が核で報復すると示して核の使用を防ぐ「拡大抑止」について、効果を高める方策を話し合う。
北朝鮮は9月下旬以降、弾道ミサイルを高頻度で発射し、発数はすでに年間の最多を更新している。東西両岸からの砲弾射撃や戦闘機の飛行訓練も実施し、軍事活動を活発化させている。
韓国政府は米中間選挙の投開票日である11月8日までに北朝鮮が7回目の核実験に踏み切る可能性があるとみている。北朝鮮は韓国の軍事拠点などを射程に収める短距離弾道ミサイルの実戦配備を進め、核弾頭の小型化に向けた実験を目指す。成功すれば韓国にとって核の脅威が増大しかねず、警戒を強めている。

金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。