中国当局、アント投資先の撤退要求検討か ロイター報道

【上海=松田直樹】ロイター通信は31日、アリババ集団傘下の金融会社アント・グループに対して、中国当局が一部の投資案件から撤退を求めるか検討を始めたと報じた。アントの数十社に上る投資案件が対象。当局は市場での不公平な競争環境を解消するため、調査を始めたという。
ロイター通信によると、当局は現時点ではアント側に具体的な指導はしてないという。アントを巡っては2020年12月26日に「企業統治が不健全」などの問題点を金融当局が指摘していた。アントは決済という本業回帰のため、金融持ち株会社設立などの改革案を早期に作成することが求められている。
アントの投資案件にはフィンテック企業のほか、中国のシェア自転車大手など幅広い分野の企業が含まれる。海外ではインドの決済大手などにも出資する。当局はこうした案件の見直しを求めるか検討しているとみられる。
アントは当局の監督方針の変更を理由に、20年11月に予定していた大型上場の延期を余儀なくされた。アリババに対しても当局は独占禁止法違反で調査を進めている。