サムスン半導体営業益97%減の280億円 22年10〜12月期

【ソウル=細川幸太郎】サムスン電子が31日発表した2022年10〜12月期の部門別業績で、半導体事業の営業利益は前年同期比97%減の2700億ウォン(約280億円)にとどまった。パソコンやスマートフォンの需要低迷で主力のメモリーの在庫が積み上がっており、価格低下と在庫資産の評価損を計上したことで利益を押し下げた。
半導体部門の売上高は同24%減の20兆700億ウォンだった。営業利益の2700億ウォンは、09年1〜3月期に営業赤字となって以来となる低い水準だ。前四半期と比べても95%減となり、昨夏以降のメモリー市況の悪化が響いた。
代表的なメモリー製品であるDRAMの販売価格は前四半期比で30%超下落。NAND型フラッシュメモリーでも30%弱下がったという。
メモリーを除く「その他半導体」の売上高は前年同期比で21%増の7兆9300億ウォンと、四半期ベースの過去最大を更新。受託生産事業での先端半導体の販売増でメモリーの落ち込みを一部補った。

23年の見通しについてサムスンは「スマホは消費心理の低迷が続き、パソコンも次の交換周期まで時間がかかる」とし、顧客企業の生産調整は続くとの見通しを示した。
それでもサムスン自身は中長期的な需要増を見越して「23年の設備投資は前年並み水準を維持する」と改めて強調した。22年の半導体設備投資額は前の期比10%増の47兆9000億ウォンだった。
半導体と二本柱であるスマホ部門の売上高は同7%減の26兆9000億ウォン、営業利益は36%減の1兆7000億ウォンだった。世界的な景気鈍化でスマホ市場全体が縮小し、最大手サムスンの販売も低迷した。
家電部門の売上高は同2%増の15兆5800億ウォン、営業損益は600億ウォンの赤字(前年同期は7000億ウォンの黒字)だった。コロナ禍での白物家電やテレビの販売が好調だった反動が大きく、同部門で7年ぶりの赤字転落となった。
主力部門で唯一好調だったディスプレー部門の売上高は3%増の9兆3100億ウォン、営業利益は38%増の1兆8200億ウォンだった。
22年通期の売上高は前の期比8%増の302兆2300億ウォンで初めて300兆ウォンを超えた。営業利益は16%減の43兆3800億ウォンだった。韓国の法人税改正で子会社配当の二重課税がなくなったことで海外資産に対する帳簿上の負債が解消され、10兆ウォン超の特別利益を会計処理し、純利益は39%増の55兆6500億ウォンだった。