マレーシア、年内の総選挙濃厚に 与党が早期解散方針
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【シンガポール=中野貴司】マレーシアのイスマイルサブリ連立政権の中核政党である統一マレー国民組織(UMNO)は30日に幹部会を開き、年内の解散・総選挙実施を求める方針を決定した。イスマイルサブリ首相が所属するUMNOが方針を明確にしたことで、年内に総選挙が開かれる可能性が高まった。
UMNOは幹部会後に発表した声明で「国会を近い将来、解散し、次の総選挙を年内に実施できるようにすべきだ」と明記した。「幹部会の決定に基づき、イスマイルサブリ首相が国王に解散の日程を提案することになる」とも説明した。
首相を決める下院の任期は5年で、前回2018年の総選挙から5年後の23年夏に任期が満了する。直近の州議会選挙ではUMNOを中心とする与党勢力が圧勝しており、連立政権内で任期満了を待たずに、早期解散を求める声が高まっていた。
政府はUMNOの決定に先立ち、10月28日の予定だった23年の予算案の発表日を3週間前倒し、7日にすることを決めている。これも年内の総選挙実施を念頭に置いた動きとみられ、首相が予算案発表直後の10月中旬に解散を発表し、11月中に投票日を設定するシナリオが有力視されている。12月に入ると洪水が起き、安全な投票機会の確保が難しくなる懸念があるためだ。